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14歳からの哲学入門 「今」を生きるためのテキスト
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生き方・教養
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カント

『14歳からの哲学入門 「今」を生きるためのテキスト』
[著]飲茶 [発行]二見書房


読了目安時間:26分
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Immanuel Kant


 神は、「神という概念」にすぎず、人間が経験から勝手に生み出したものにすぎない。


 私も、「私という概念」にすぎず、人間が経験から勝手に生み出したものにすぎない。


 正しさも、「正しさという概念」にすぎず、人間が経験から勝手に生み出したものにすぎない。



 ヒュームは、あらゆるものを「経験から生み出された概念」に還元し、合理論を徹底的に否定してしまった。


 かくして、合理論(デカルト)と経験論(ヒューム)の対立は、経験論に軍配が上がるわけであるが、でも、ちょっと違和感を覚えないだろうか。


 確かに、人間の頭に思い浮かぶものは、すべて何らかの経験に端を発しているという理屈はわかる。でも、もし本当にすべてが経験から生じているのだとしたら、生まれてから何をどう経験するかなんて「人それぞれで全然違う」のだから、あらゆるものが「人それぞれ」ということになってしまいそうだ。そうすると数学の定理や公式(たとえば、三角形の面積の公式)ですら、「人それぞれの正しさ」しか持たないということになってしまうわけだが、それはそれで何だかおかしい。


 つまり、経験論の主張に一定の説得力は感じるものの、


「すべては経験からくる個人の思い込み(気分)にすぎません! そして、経験とは『個人的なもの』で『人それぞれのもの』であるのだから、そこから生み出される概念も人それぞれであり、『人類全体で共有できるような概念』はいっさい存在しません!」



 とまで言われてしまうと、さすがに言いすぎのように聞こえてしまうという話だ。


 実際、僕たちは幾何学や論理学など、人類全体で共有可能な概念があることを知っている。もちろん、経験論に従うなら、それらは「たまたま同じような経験をした人たちが集まってそういう概念を生み出し、共有しているだけのものにすぎず、『全人類にとって絶対的に正しいもの』ではない」わけだが、でももし本当にそうだと言うなら「人それぞれの経験の違い」によって、この世界にはもっと多様な「人それぞれの幾何学」や「人それぞれの論理学」があってもよさそうなものである。


 でも現実には、そんなものはない。経験(たとえば、育ったときの家庭環境など)の違いによって幾何学や論理学の種類が分かれるなんて聞いたこともないだろう。


 ということはだ。それぞれで多様な経験をしているはずの人間が、同じことを同じように考え、正しいと判断しているのだから、やっぱりこの世のどこかに、


「人それぞれの経験の違いによらず、人間ならば誰もが必ず『正しい』と言わざるをえない唯一の考え方(概念)」



 が存在しているのではないだろうか。もしも、そういうものがあるのだとしたら……、合理論は一発逆転!「人それぞれによらない正しさ(演繹法)」を主張する合理論の大復活である!


 でも、はたしてそのような「人それぞれの経験によらない概念」なんてものが本当にあるのか?


 答えは「ある」だ!


 この「ある」という答えを導き出したのが、ドイツの哲学者カントである。



経験する」とはか?


 カントは、「人それぞれの経験によらない概念」というものを見つけだすため、まず「経験するとはどういうことか、経験が成立するための前提条件とは何か」について考えてみた。

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