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14歳からの哲学入門 「今」を生きるためのテキスト
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生き方・教養
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レヴィ=ストロース

『14歳からの哲学入門 「今」を生きるためのテキスト』
[著]飲茶 [発行]二見書房


読了目安時間:27分
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Claude Lévi-Strauss


 実存主義はとても魅力的な哲学であった。キルケゴールにしろ、サルトルにしろ、一回、相手を絶望的な世界観に叩き落としてからの、「でもだからこそ、人間は特別な存在なんじゃないか!」と持ち上げるという巧妙なやり方。このちょっとズルい語り口が当時の若者たちの心をガッチリと捉えたのだ。


 しかし、残念なことに、この実存主義の哲学は、サルトルが生きてる間に時代遅れになってしまう。実存主義を台無しにしてしまう新しい哲学が現れたからだ。それが構造主義の哲学である。



無意識」の発見


 構造主義の考え方がはじまるきっかけを知るには、サルトル(一九〇五〜一九八〇)の時代から少々さかのぼらなくてはならない。


 ジークムント・フロイト(一八五六〜一九三九)、オーストリアの精神分析家である。名前ぐらいは聞いたことがあると思うが、彼はだいたい次のようなことを述べて世間に衝撃を与えた人である。


「お前らは気がついていないし信じないだろうが、実は幼児も性的欲望を持っている。だが、この幼児の性的欲望は、その欲求が満たされ、果たされることはない。親から『オティンティンさわっちゃダメよ!』と叱られるからだ。こうして、弱者である幼児は、『オティンティンをいじったらダメなんだ、性的なことはいけないんだ』と思い込むようになり、自分の性的欲望を『抑圧』するようになる。この『抑圧』が強すぎると、最終的に、人は精神に異常をきたしてしまうのであるが、『抑圧』していない人間はいないので、お前らは全員、性的に倒錯した精神異常者だ」



 私(著者)は、個人的にフロイトが大好きである。はっきり言って、彼はこう言えばよかったと思う。


「人間は誰でも欲望を持っている。しかし、その欲望は必ずしも果たされるわけではない。なので、人は自分の欲望を『抑圧』して生きていかなくてはならないが、この『抑圧』が強すぎると、人間は精神的に病気になってしまう。人間は誰しも少なからず『抑圧』して生きているのだから、誰だって精神的に異常な面を多少は持っているのではなかろうか」



 彼が主張する「抑圧による精神的病の発生」というのは、当時としてはものすごく画期的な理論であったのだから、このぐらいの表現にしておけば、みんな手をたたいて賛同し、「なんて偉大な洞察なのだ」と褒め称えてくれたことだろう。


 しかし、なぜかフロイトはこのことを語るときに、いちいち、「性的」な話題、しかも、「幼児の性」をからめて説明をしてしまう。フロイトが生きていた時代は、性的なことについて語ることは眉をひそめられた厳格な時代であり、ましてや、子供の性的欲望について語るなんてもってのほかという風潮であったから、フロイトの理論は、その画期的さのわりに、当時の知識人たちから拒絶にも似た厳しい批判を受けてしまう。


 でも、やめられなかったのだろう。批判されるとわかっていても、ソコだけはどうしても言わずにはいられなかったのだろう。その点について、私(著者)は強く共感する。


 さて、このように性的な語り口のせいで不当に低く評価されてきたフロイトであるわけだが、歴史的な観点で彼の一番の成果を取り出すとしたら、それはやはり、彼が「無意識」という新概念を発見し、それを世間に知らしめたことであろう。

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