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(2021/11/26 追記)

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14歳からの哲学入門 「今」を生きるためのテキスト
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生き方・教養
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あとがき

『14歳からの哲学入門 「今」を生きるためのテキスト』
[著]飲茶 [発行]二見書房


読了目安時間:4分
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 ある日、ネットで動画サイトを見ていたら、「歌ってみた」というタグがつけられた動画がたくさん出てきた。


「こ、これは、ケインズが言っていた『歌うことができる人たち』!? ついにきたか(ガタ)」



 興奮して椅子から立ち上がった私は、自分も動画サイトに登録。大好きなパズルゲームの「ゲーム実況動画」を制作して、動画界で名をあげようと試みたのだが、「ボソボソしゃべりながらパズルされてもつまらない」とメチャクチャ不評。友人たちからもボロクソに言われ、アクセス数も伸びず、枕を涙で濡らす日々が続いたわけであるが(わざわざ開発元のHAL研究所に連絡して許可まで取って作ったのに……)、それはそれとして、本書『14歳からの哲学入門』のタイトルは、尊敬する哲学者、池田晶子先生の『14歳からの哲学』を元にしている。


 池田晶子先生と言えば、かつて私は彼女のインタビュー記事に感銘をうけたことがある。その記事には、このようなことが書かれていた。


「私は女である。というときの、『私』とは何であるのか? 何を『私』と言うべきなのか?『私』の用法を確定することなしに、『私は女である』とは直結できません」



 池田晶子先生は、女性である。歴史に名を残している哲学者はほとんどが男性であるからその意味では珍しいと言える。当然、インタビュアーとしては、売れっ子の女流哲学者から女性ならではの意見、たとえば女性論とか、ジェンダー論とか、そういう話題について聞き出したかっただろう。


 しかし、池田晶子先生は期待にこたえない。


「私が女である、というときの『私が○○である』とはそもそもどういうことか?」



 ブラボーだ。いっさい空気を読まずに、より本質的な問いに目を向ける。なるほど哲学者とはかくあるべきなのだと思わされた記事であった。



 もちろん、こんなのは正直、大人の回答ではない。十四歳的な斜め上の回答だ。そこは空気を読んで、女性の社会的立場や地位について持論を展開し、インタビュアーが喜びそうなことを語ってあげるのが大人ってもんだろう。


 だが、それがいい。それでこそ哲学者だ。僕たちは、彼女を見習って、もっと根本的なところから考えるべきである。相手の都合なんて気にしないで、「いや、そんなことより、そもそも」と、ふだん見すごされてる疑問を自由に投げかけるべきである。


 そして、そういうことを一番できるのが十四歳という年代……。


「なぜ人を殺してはいけないの?」

「なぜ自分がされて嫌なことを他人にしてはいけないの? 他人がどうなろうと自分がよければいいんじゃないの? て言うか、そもそも自分と他人って何が違うの?」



 こんなことを真剣に問いかけられるのは十四歳ぐらいのものである。公共の一般社会で、こんなことは聞けないし、聞いたらつまはじきだ。こんなふうに突拍子もない反社会的なことを問うても許されるのは十四歳だけの特権だと言える。だから、十四歳の方々は、この特権をきちんと有効活用し、常識を疑う問いを臆面もなくどんどん世界に出していくべきである。


 そして、一方、十四歳ではない方々……。あなたたちも大丈夫。というのは、今や、ネットでは誰もが身分を隠して言いたいことが言える時代になっているからだ。つまり、誰もが言いっぱなしで(良くも悪くも)無責任なことが言える時代、十四歳のあの頃に戻って自由に常識を疑う発言ができる時代なのだ。


 ネットの世界では誰もが十四歳になれる。公的な場では決して言えないことでも自由に議論ができてしまう。僕たちは、もっとこの時代特有の環境を利用し、自由に議論してもよいのではないだろうか? 歴史に名を残した哲学者たちのように、もっと「稚拙で極端なこと」を積極的に言い放ってもよいのではないだろうか?


 本書で紹介した偉大な哲学者たち。彼らは決して理解不可能なことを言っているのではなく、意外に子供じみた発想から論を展開させており、結局、普通の人との違いは、「その子供じみたことをどれだけ真剣に主張したか」の熱量の差だけなのである。そのことを感じ取っていただけたら幸いである。




 本書の執筆にあたり、様々な哲学者の本を参考にしました。彼らが人生をかけて残してくれた数々の偉大な著作に感謝の意を申し上げます。また、本書の執筆に多大なインスピレーションとハートを与えてくれた池田晶子先生の哲学と生き様に深く敬愛の念を捧げます。

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