『羽生結弦 会見全文』
[著]アスリート研究会
[発行]ゴマブックス
日本フィギュア発祥の地で誕生
羽生結弦選手の出身は「日本のフィギュアスケート発祥の地」と言われている宮城県仙台市。仙台市立七北田小学校、仙台市立七北田中学校、東北高等学校と、生まれてから高校を卒業するまで仙台を生活の拠点にしていた“仙台人”です。
現在は、全日本空輸(ANA)に所属して競技生活を送る一方、早稲田大学人間科学部人間情報科学科通信教育課程(eスクール)に在学中の大学生ですが、練習の拠点はカナダに置いているので、郷里の仙台市にいられる時間は極めて限られるようです。
名前は「弓の弦を結ぶように凛とした生き方をして欲しい」という願いを込めて、中学校の教頭を務めている父が命名したものです。なお、羽生選手の家族はこのほかに、専業主婦である母、仙台における練習のホームリンクであった「アイスリンク仙台」の職員として現在、働いている4歳年上の姉がいます。
演技前に必ず行う胸の前で十字を切るような動作は、実際には「士」の形を描いており、「ジャンプの回転軸と両肩を平行に保つ意識を確認するためのおまじない」です。2015年11月以降から、両手で天を仰ぐような動作を最後に加えるようにもなりました。
尊敬する選手はエフゲニー・プルシェンコ、ジョニー・ウィアー、荒川静香(敬称略。以下、同じ)。荒川は同じ「アイスリンク仙台」で育ち、東北高校、早稲田大学の先輩にもあたります。
ロシアのプルシェンコをリスペクト
羽生選手は、荒川静香の代名詞である「レイバック・イナバウワー」を自身の演技に取り入れていますが、これは、荒川へのリスペクトを示すためです。
エフゲニー・プルシェンコには、2002年ソルトレイクシティ・オリンピックでの演技を見て以来、心酔しています。技の手本とするに留まらず、彼のマッシュルームカットまで真似した時期もあるほどの入れ込みようです。また、ビールマンスピンを自身の演技に取り入れることで、プルシェンコに対するリスペクトを示しています。
これに対し、プルシェンコも羽生選手を賞賛する言葉を多々述べています。ソチ・オリンピックで金メダルに輝いた羽生選手に対して、「コーチ就任を希望する」とまで言わしめたほどです。
一方の羽生選手は2015年のNHK杯で3つの世界記録を更新した翌日のインタビューでも、理想とする王者像はプルシェンコであり「彼のような存在になれるように努力していきたい」と述べました。
ジョニー・ウィアーも幼少期から憧れの選手に挙げており、ソチ・オリンピックシーズンの『ロミオとジュリエット』など、いくつかの衣装デザインを手掛けてもらっています。