リーグの会長に事情を説明して相談すると──
「お前が売らないと、サン・バーナーディーノは試合できない。リーグ全体のスケジュールが組めない。市長が指示する人間に売ったらどうだ?」
市長はリーグにまで手を回していたのだ。
私はこういう姑息なやり方が一番嫌いだ。徹底的に戦おうと心に決めた。何より、勝負のカード、球団の株式を全て持っているのは自分であるのだ。
「サン・バーナーディーノの人間に株を売る気はない」
私はリーグの会長に言い返した。
「じゃあ、どうするんだ?」
「サリナスに戻る」
「本気か?」
「本気だ」
サリナスでは球団経営は成り立たない。