この野茂さんのドジャース移籍には、メジャー流の“説得力”があった。
九四年末、近鉄バファローズは野茂さんが任意引退選手となることを渋々認める記者会見を開いた。私はメジャーリーグの事務局に連絡を入れ、改めてフリーエージェント資格を確認した。それから一週間ほど経ってからだろうか、正式にメジャー全三〇球団へ野茂英雄はフリーエージェント資格のある選手だと公示された。つまり、どの球団が交渉してもいい選手である。
私は野茂さんの資料を二十数球団に送った。興味を示してきたのは、五球団だった。
ロサンゼルス・ドジャース、カリフォルニア(現ロサンゼルス)・エンゼルス、サンフランシスコ・ジャイアンツ、シアトル・マリナーズ、そしてニューヨーク・ヤンキース──。