『ロッキング・オン天国』
[著]増井修
[発行]イースト・プレス
そんな中で、カート・コバーンという人はもう、奇跡のようなところがあった。カートのことは難解で解説しにくいが、彼もいきなり『イン・ユーテロ』[1993年9月]を作ったわけじゃない。
もちろん『ネヴァーマインド』[1991年9月]もいいアルバムだけど、なんというか一言で言えばあれ、「ポップ」だよね。
そのあたりを嶽本野ばら氏が『タイマ』という本で実に的確に書いている。彼は『ネヴァーマインド』は全然好きじゃなかったんだって。まずサウンドが田舎くさい、それに比べてホールの『リヴ・スルー・ジス』のほうがジャケットからして洗練されていると。