──「今」というリアリティを生きる覚悟ができたあなたへ

「スピリチュアル」という単語も、すっかり日本に定着したようで、書店の精神世界コーナーを見渡せば、さまざまな解釈の「スピリチュアル」が所狭しと並んでいます。

　傷ついた心を丸ごと抱擁してくれそうな優しい言葉。明るい未来を予感させてくれる霊言集。幸せや富の引き寄せ方。天使や聖霊、宇宙人などといった高次元の存在から授かったメッセージ。潜在意識を開花させ、ハイヤーセルフとのコンタクトを可能にする方法。ツインソウルの見つけ方。光り輝くワンネスの世界、世界に渦巻く陰謀論。体外離脱の指南本に、空(くう)につながる瞑想入門。心をフッと軽くしてくれる禅の言葉……。

　これら、さまざまな情報が溢(あふ)れていますが、本書はそれらのどれにも当てはまりません。だいぶ毛色が異なります。

　ここにあるのは、一時、新興宗教やキリスト教などに傾倒していた筆者が、紆余曲折の末に遭遇した衝撃的な自己消失までの赤裸々な半生と、そのリアルな経験に裏打ちされた洞察で「スピリチュアル的・宗教的常識」を破壊する、叱(しっ)咤(た)の言葉です。

「空(くう)やワンネスなど、考えるだけ無駄」「この世に真理なんてない」など、読者に媚(こび)を売らない正直なメッセージの数々は、ときに夢や希望を打ち砕いてしまうほど強烈なものですが、単なるスピリチュアル・ブームに対するアンチテーゼでは終わりません。

　それは、概念化されたスピリチュアルを学ぶがゆえに不自由になってしまった人々へのエールであるとともに、筆者自身に向けての自戒のようにも見える「脱スピリチュアルのためのスピリチュアル」。著者の人気ブログ「Eye of the God～神の眼～」の第一ページには、こう書かれています。

　などなど、著者の一貫した姿勢が見せる、希釈していないメッセージの濃厚さは、彼の持つ魅力のひとつですが、精神世界を学び出して間もない人々、特に「明るい未来」に希望を持っている人にとっては有害にすらなる場合があるでしょう。

　しかし、ファンタジーを卒業し、「今」というリアリティを生きる覚悟ができた人にとっては大きな糧になるはずです。

　そして、賢者テラのメッセージの奥にある「真意」が理解できたとき、何者にも阻害されない自由と、あらゆる依存対象から切り離された真の幸福を、あなた自身の中に見つけることでしょう。

　ゆるふわスピリチュアルに違和感を感じ出したあなたへ。また、真理について誤った概念を持つぐらいなら、何も持たないほうがいいと感じているあなたへ。

　これから語られる内容が、本当に自分の腑(ふ)に落ちるかどうか、これまでの固定観念や先入観を丸ごと捨て、じっくりと確かめながら読み進めてください。

　さぁ、あらゆる常識がひっくり返る用意ができたなら、お通りください。

　精神世界のアフター・スクール、「テラ部」のスタートです！