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(2021/11/26 追記)

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困った性格の人とのつき合いかた
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生き方・教養
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1.「境界性パーソナリティ」とは?

『困った性格の人とのつき合いかた』
[著]小羽俊士 [発行]すばる舎


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(第1章「ケース1」参照)
本質的な問題
「境界性パーソナリティ」は“ボーダーライン”とも呼ばれ、最近では一般の人もよく知っている「病名」になっているという印象があります。しかしその疾患概念は実はかなり難解です。そもそも何がどう“境界(ボーダーライン)”なのでしょうか?

 ここで言う「境界」とは、現実と妄想(考え過ぎ)の区別がしっかりついている状態と、現実と妄想の区別が全くついていない状態の境界線上にあることを意味します。

 例えば、「あの人は私のことを嫌っているのではないかと思うと不安だ」というのは、私たちが自分の頭の中で考えていることです。これは通常、現実に「あの人は私のことを嫌っている」かどうか、とは明確に区別されます。人は劣等感が強くなったり自信がなくなってくると「自分は嫌われているのではないだろうか」と不安になるものですが、それでも図表3のように「自分の中で不安に考えたこと」と「外的な現実」というものは区別できるのが健康な状態です。



 これが全く区別できない状態のことを「精神病状態」と言い、外的な現実とは違う、ただの考えすぎを現実であるかのように思ってしまうことを「妄想」と言います。そこで、「あの人は私を嫌っている」という解釈になってしまうのです。

 妄想は統合失調症などの重症の精神障害において、しばしば現れてくる症状ですが、ひどくなると「米軍に狙われている」「宇宙人と交信している」などのかなり荒唐無稽なものにまで発展することがあります。

 ところが「妄想」というほどひどく「現実」と「考えすぎ」の区別がついていないというわけではないものの、健康な状態というほどにしっかりと区別できているわけではない心の状態”があります。これを「境界状態」と呼びます。

 よくよく見ていくと、性格的に境界状態になりやすい人がいることがわかり、そうした人は、特に対人関係において感情的なものが絡んでくると、「現実」と「考えすぎ」の区別がつきにくくなる傾向があることがわかってきました。

 例えば、ある女性が「今日は生理前で顔がむくんでいて、何となくイケてなくて嫌だな…」と気にしていたとします。そこに職場の同僚がたまたま優しい気持ちで「今日は疲れてそうだね」と声をかけてきました。ところが本人には「生理前でむくんでいる」と外見について劣等感や不安があり、気にしていたので、その人の一言を「外見がイケてないと批判された、馬鹿にされた」と感じて傷つき、怒ってしまう…という具合です。

 あるいは、気持ちがふさいで寂しくてしかたない夜に、優しい声をかけてほしくて友人に電話をした人がいたとします。ところが夜もけっこう遅い時間だったので、電話をかけられた友人も寝ようとしており、「どうしたの、こんな時間に?」と今一つ気のない返事をしました。今一つ気のない返事とはいえ、それほど悪意や敵意があるものではありません。ところが、本人には「“こんな時間に”と責められた、迷惑だと思われている、いないほうがいいと思われている」と感じて傷つき、怒ってしまう…というような受けとめかたをしてしまうということです。

 こうした「境界状態」においては、ネガティブな感情のもとで相手は完全な悪人になってしまい、それまで良好な関係があったこともポジティブな気持ちを向けていたことも一気に吹き飛んでしまうのです。このように性格的に「境界状態」になりやすい人のことを「境界性パーソナリティ」と精神医学の分野では呼ぶようになりました。

 この人たちの本質的な問題は、自分と相手との関係の中で「ポジティブな気持ち/ポジティブな人物像」と「ネガティブな気持ち/ネガティブな人物像」がうまく共存できないことにあると考えられています。
図表4



 ポジティブな気持ちの時には、相手を極端に理想化して「この人は私のすべてを理解し、受け入れてくれている。私にはこの人しかいない」と本気で思っていますし、ネガティブな気持ちの時には同じ人物に対して極端に価値下げし「この人は何一つわかっていないし、私のことをどうでもいいと思っている。地球上で最低・最悪の人間だ」と本気で思ってしまうのです。自分自身に対しても、相手に対しても、「ポジティブな気持ち/ポジティブな人物像」と「ネガティブな気持ち/ネガティブな人物像」がしっかりと統合できないために、自己イメージも他者イメージも現実的ではなく、不安定で漠然としています。自分の気持ちも、相手の気持ちも漠然としかとらえられません。漠然ととらえている相手の気持ちに、自分の不安を投影してすぐに疑心暗鬼のような状態になってしまいます。

 このため、対人関係は常に不安定で、誰かを極端に理想化してしがみつくかと思いきや、ちょっとしたことで極端に価値下げし、軽蔑し、突き放します。こうして自分から突き放しておきながら「突き放された」「見捨てられた」と被害的に感じてしまうのです。

 以上が境界性パーソナリティの人の本質的な問題です。しかし、おわかりでしょうが、こうした本質的な問題はその本人とよくよく関わって、よくよく見ていかないと見えてこないものです。これに対して、境界性パーソナリティの人にはしばしば以下のようなより目立つ問題が随伴していることがあります。
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