『本当に賢い人の 丸くおさめる交渉術』
[著]三谷淳
[発行]すばる舎
人とのコミュニケーションはすべて交渉
◆仕事は交渉で回ってる
あなたは、どのくらいの頻度で「交渉」をしていますか?
業種や役職、部署によって違うと思います。月に2~3回かなぁという人もいれば、週に3回という人もいると思います。いやいや毎日交渉しているよという人もいるでしょう。
でも、実は、あなたが今思いついた回数の5倍くらい、あなたは気づかないうちに交渉をしています。誰もが意識をしないでたくさん交渉をしているのです。
ちょっと一例をあげてみましょう。
・お問い合わせのあった新規のお客様に、担当しているサービスをぜひ導入してもらいたい
・今担当している商品を得意先にできるだけ高く買ってもらいたい
・オフィスのパソコンを新調するのにできるだけ安く調達したい
・新商品のPRのためのWebサイトを制作会社に1週間以内に完成させてほしい
このようなときにする商談はもちろん典型的な交渉です。
あるいは、トラブルが絡む交渉もあります。
・頼んでいた材料が約束した納期に届かないから製作にかかれない
・仕事をしたのに取引先から代金の入金がなかった
・約束通りの仕事をしたはずなのに、お客様から文句を言われて困っている
そして、交渉は対外的なものばかりとは限りません。
・社内で絶対にプレゼンを通したい
・上司に自分のがんばりを評価してもらって、ボーナスの査定を上げてもらいたい
・魅力的なプロジェクトのメンバーに自分も加えてもらいたい
・部下に残業をお願いしたい
さらに、交渉は仕事上のことばかりではありません。
・上司の送別会の幹事になってしまい、出席者を集めなければならない。同僚のみんなにも送別会に出席してほしい
・昼休みのランチ、同僚は牛丼屋に行こうと言うけれど、自分は今日はそばが食べたい
それだけではありません。プライベートでも交渉ごとは待っています。
・係長に昇進したのを機に、毎月のおこづかいをちょっとだけ上げてもらうよう妻にお願いしたい
・スマホばかりいじっている反抗期の子どもたちに宿題をやらせなければならない
・2週連続で日曜日にゴルフに行く約束をしてしまったので、早く妻の了解を取らなければならない
などなど。
このことからもわかるように、実は「人とのコミュニケーションすべて」が交渉なのです。少なく見積もっても、あなたは毎日5回は交渉をしているはずです。
言い方を変えれば、「日々の生活は交渉そのものである」といっても言い過ぎではありません。
これだけたくさんの交渉をしているのですから、今より少し交渉が上手になったら、毎日がちょっと楽しくなりそうな気がしませんか?