◆小さなおうちは、片づかなくて当たり前?
もし、「自分の住まいのお気に入りはどこ?」と聞かれたら、今だったら「全部お気に入りです!」と答えられそうだ。
でも以前は、別にどこもお気に入りじゃなかった。
予算に合った家賃で、生活と仕事に必要な最低限の面積が確保されているだけの、古い部屋。
決して広いとは言えないその空間に、ちょっと油断するとたちまちモノが散乱する。いざ掃除を始めても、まるでパズルのように、あっちのものをこっちにどかし、あっちを拭いてはまたこっちに移動し……なんてことをやっているうちに、だんだん頭が痛くなってくる。そんなだから、なくし物だってしょっちゅうだ。
時間がないときに限って「ハサミがない!」「家のカギがない!」「誰か隠した?」と人のせいにしたくなるほど(私しかいないが)、今必要なものが見当たらない。
まとまりのない部屋のなかを焦って探し回っては、イライラする。
狭いんだから、散らかったってしかたない。それにこんなゴチャゴチャした汚い部屋、掃除することを考えただけでも疲れる。どうせまた汚れるんだし。
たしかにそういう面もあるだろう。でも、開き直ってばかりもいられない。
自分のテリトリーなのに、そこにいると息苦しい。住まいが住まいとしての機能を果たしているとは言いづらい状態。それが現実だ。
だから、ちょっと考えてみた。
この部屋が息苦しいのは、本当に部屋が手狭でボロいせいなのか?
◆自分の生活のしかたに合った住まいにする
「息苦しい住まい」とは、「手狭な住まい」を指すのではなく、自分の生活のやり方に合致していない住まいを指すのだと思う。
つまり、住まいのあり方が、主人である自分に都合よく整備されていないのだ。
なぜいつも、キッチンが汚れているのか? それは、その都度キレイになるしくみができていないから。
なぜいつも、部屋が散らかってしまうのか? それは自分にとって片づけにくい収納や整理のしかたになっているから。
なぜいつも、出がけにカギを探すのか? それは、すぐにカギが見つかるように工夫していないから。
雑誌なんかを見ると、ワンルームとかの小さな部屋でも、スッキリ暮らしている人はいる。だからといって、それを表面だけマネても結局キレイにしていられるのは一瞬だ。
どんなにキレイでも、自分にとって使い勝手の悪い部屋は、その美しさをキープするのに必要以上に労力がかかる。結果、掃除・片づけが面倒になって、元のもくあみになってしまうのだ。
スッキリ暮らすには、見た目の美しさの裏にある、掃除・片づけのしやすさが必要だ。
とはいっても、まずは細かいことを抜きにして、家全体をザーッとパッと見キレイにするところからでいいと思う。それが自信となりモチベーションとなる。
この第1章では、掃除や片づけのとっかかりとなる5つの法則を紹介している。
掃除・片づけが苦手な人も、これだけ頭に入れておけば、かなりラクに行動できるようになるはずだ。
できることから少しずつ。
最終的にそれこそが、自分が暮らしやすい部屋につながってくると思う。