『ハリルホジッチ 勝利のスパイラル』
[著]ローラン・ジャウイ
[著] リオネル・ロッソ
[発行]日本文芸社
数時間後、新監督着任の知らせがクラブを駆けめぐった。
初日の朝、ハリルホジッチは既に仕事に取りかかっていて、多くの選手たちを驚かせた。少なくとも彼が仕事に取りかかろうとしていたのは間違いない。彼は病的なほど時間を厳守する。ちょっとしたイライラも嫌なハリルホジッチは、いつも相手より先に到着しようとする。相手に気遣われるのが嫌なのだ。何事も厭わないという気難しさがあり、特に、誰かに何かで非難される隙を作ってはならないという強迫観念にかられるのだった。ハリルホジッチは傷つきやすい性格である。状況に応じて、砂糖にも塩にもなれる。そして、時間を守ることに関しては、彼はマゾヒストだ。
スタジアムの駐車場でハリルホジッチ監督と最初に遭遇したのは、エリック・ヴァン・ヴァルスカペルだった。