『ハリルホジッチ 勝利のスパイラル』
[著]ローラン・ジャウイ
[著] リオネル・ロッソ
[発行]日本文芸社
二〇〇五年十月二日日曜日。まもなく八カ月だ。サッカー場で朝を迎えなくなってから、一日中はっきりとした目的を持たずに過ごすようになってから、もうすぐ二百四十日になる。次の試合のために対戦相手のプレーを細かく分析しなくなって、半年以上が経った。失われた月日に苛立ち、ハリルホジッチの機嫌はすこぶる悪い。
確かに、スコットランドのクラブやカタールから何度か接触はあったが、素晴らしいオファーとは言えなかった……。スペインのデポルティーボ・ラ・コルーニャがどうたらという話もなかったわけではない。予想されていたことだが、ディディエ・デシャンの後任のASモナコの監督に名前が挙がったこともあった。だが、その可能性はあっという間に消えた。
八カ月なんて短いものだ。だが、ハリルホジッチにとっては長すぎた。フランスのルーヴシエンヌとマルク=アン=バルールの間を何度も行き来した。英語の勉強を続けていた。
だが、二〇〇五年十月のこの日曜日、ハリルホジッチはトルコにいた。