『こじらせない練習。――「今」に生きる人のための心理学』
[著]石原加受子
[発行]すばる舎
◆「断る力」を身につけていますか?
「意志をもって断る」力は、今を満足して生きるために不可欠です。
ところが、「断れない人たち」は、それを〈わがまま〉だと解釈します。
例えば、職場の上司が、本来担当ではない仕事を、押しつけてきたとしましょう。
断れない彼女は、しかたなくそれを引き受けます。
けれども、相手に断ることができないで従っていたとしても、決して、気持ちよくはやってはいません。顔の表情、あるいはその口調は、イライラしている感情そのままの態度をとっています。
前章までに共感能力、共鳴能力という話をしたように、どんなに自分では隠しているつもりでも、自分の気持ちや感情は相手に伝わります。
相手は、その態度や表情や抱いている感情に不快感を覚えて、
「なんだ、そのふて腐れた態度は」
と責めたくなります。他者中心の人ほど、そうでしょう。