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(2021/11/26 追記)

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生きる力を磨く 66の処方箋
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生き方・教養
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三つのつながりによって、人は守られている【鎌田】

『生きる力を磨く 66の処方箋』
[著]鎌田實 [著] 吉川敏一 [発行]PHP研究所


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 東日本大震災で急に「絆」という言葉がクローズアップされました。「絆」は二〇一一年の「世相を表わす漢字」にも選ばれました。


 絆というのは、人と人との結びつき、あるいはつながりのことですね。そのつながりを考えた場合、ぼくは人の命は「三つのつながりによって守られている」と思っています。その三つとは「人と人のつながり」「人と自然のつながり」、そして「体と心のつながり」で、この三つのつながりが一つでも切れると、人間は生きづらくなると感じています。


 人は一人では生きていけない。そのことを大震災でぼくたちは改めて痛切に感じました。だからこそ「絆」がクローズアップされ、物やお金ではない「人と人のつながり」が非常に大事だと気づいたのです。


 ただ、人と人とのつながり、それは人間関係といってもいいですが、そのつながりに疲れたり、傷ついたりすることもあります。ある一定の人とのつながりにしんどくなったら、別の人たちにつながりを求めるのも一つの有効な方法でしょう。


 絆には「ほだし」という意味もあります。相手を縛ったり、コントロールしたりしてしまうこともあるのです。だから「ゆるやかな絆」がいいのだと思います。


 人とのつながりがどうしてもつらくなることがあるかもしれない。そうした場合、別のつながりを持っていると、心が癒やされ、晴れやかになることがあります。人工物より自然のほうがよいというのがぼくの実感と経験に基づく持論です。


 どうして自然かといえば、森林浴をしたり、温泉に入ったり、動植物に触れたりすると、たいがいの人は気持ちが(ほが)らかになり、安らぐものだからです。仮に心がささくれ立っていても、フッと力みが抜けたり、物事を見る視点がガラリと変わって、別の発想が湧き起こることもあるでしょう。これらは自然に接することの効用の一つです。


 その自然は、実は都会にいても感じることができます。東京でも京都でも大阪でも名古屋でも札幌でも、コンクリートジャングルと呼ばれるような場所でも、一輪の花が咲いていることはあるし、ハトはやってくるし、雨が降ったあと、道ばたにいきなりカエルが跳び出してくることもあります。


 都会の公園で一本の木を見つつ、木も、鳥も、虫も、そして人間も、みんな同じ空気を吸っているんだなと思うことがあります。ぼくたちの吐き出した空気を葉っぱたちが取り込んできれいな空気に変えてくれる。大地と木の幹と雲は水でつながっている。すべての命はつながって、循環していることに気づかされます。自然とのつながりを断ち切って、人は生きていけないことに気づかされます。

「体と心のつながり」も大切ですね。体にいい刺激を与えて、いい汗をかく。ウォーキングをする、ジョギングをする、スクワットをする。無理のない範囲の運動はとてもよいことです。


 小説や詩を読む、音楽を聴く、映画を観る。あるいは、小説や詩を書いてみる、楽器を()いてみる、旅に出てみる。何でもいいから、心に栄養を与えると、体は元気になっていきます。

「われ思う、ゆえにわれ()り」の名句で知られるフランスの哲学者、ルネ・デカルトは心身二元論、つまり、世界は精神と物体(身体)に分けられると考えました。どうもデカルトが活躍しだしたころから、医学は人間の体を分解して、臓器をまるで部品であるかのようにとらえ始めたようです。


 しかし、ぼくたちはこの二元論を超えなくてはならない。臓器だけを診るのではなく、人間を丸ごと診る医療を行なわなくてはならない。自然を含めて物体に精神はないとする二元論に、ぼくたち日本人はそもそも賛同しきれない思想を持ちますが、この思想をぼくは大事にしたいと思っています。


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