『トランプ登場は日本の大チャンス 新しいアジア情勢のもとで日米関係はこう変わる』
[著]日高義樹
[発行]PHP研究所
ドナルド・トランプの安全保障問題を担当する補佐官たちは二〇一六年十二月初め、トランプタワーの三二階にある会議室で、トランプ政権の基本的な外交戦略問題を話し合った。
そのなかで、まず取りあげたのが中国との関係で、とくに中国との貿易戦争が懸念されているなかで、中国側がその報復として、どのような行動に出るかを推測し、対応が話し合われた。
この会議の内容について関係者はこう言っている。
「想定される幾つかの中国の軍事行動が話し合われたが、当面懸念されるのは、南シナ海における軍事行動と、それに関連する東シナ海の問題だった。東シナ海の尖閣列島問題については、ヒラリー・クリントン国務長官が在任中、尖閣列島は日本の行政権のもとにあり、中国が侵略行動を起こした場合には、日米安保条約の第五条が適用されて、アメリカ軍が戦うことになると発言した。