『女の子の学力を大きく伸ばす育て方』
[著]江藤真規
[発行]すばる舎
◆案外理解できていないもの
第1章で、お母さんは「自分は女性だから、女の子のことはわかっていると思い込まないでほしい」とお話しました。
お母さんが「女の子ってこういうものなのだ」という狭い思い込みを女の子の子育ての軸にしてしまうと、育児が難しくなる。母と娘の良好な関係を築くことも難しくなるのでは、と思うからです。
娘さんが今、どんなことに興味を持ち、何に熱中しているか知っているでしょうか。
それは娘さんが「お母さんを喜ばせたい」とか「お母さんに叱られたくない」からという理由ではなく、本心でやっていることでしょうか。
子どもは親の期待に敏感に反応します。
とくに女の子には、その傾向が強いように感じます。
「お母さんは自分が何をすると笑ってくれて、何をすると怖い顔になるか」よく知っています。だから、無意識のうちに、できるだけお母さんを怒らせないよう、できるだけ笑ってもらえるような自分をつくろうとする……。
これは、娘が思春期にさしかかってから、私が気づいたことのひとつでもあります。
反省したこともありますし、そこから学んだこともたくさんありました。幸い途中で気づくことができて、娘に対する接し方も変わりました。本当によかったと思っています。
◆男の子との比較で見えてくる特性
同性同士の難しさ、わかりづらさ、反対にわかりすぎてしまうゆえの難しさ、また通ってきた道だからこその過度な期待など、母と娘の間には様々な難しさがあります。
いずれも近すぎる関係からくる難しさとも言えるでしょう。
これらの難しさを克服するために、女の子を育てるお母さんは、いま一度「女の子」について、客観的に見つめ直してみてはいかがでしょうか。客観的な視点は本質を見つけることに役立ちます。
今回、私が主宰するマザーカレッジに通うお母さんのなかから、男の子、女の子の両方のお子さんを育てている方数名に、お話を伺いました。
というのも、男の子と比べることで、女の子の特性がより際立って見えてくるだろうと考えたからです。
私は娘二人を育てましたが、男の子を育てたことがないので、親から見た男の子と女の子の違いがよくわかりません。そこで、両方を育てている方に、子育てで実感する男の子と女の子の違いを聞いてみたのです。
結果、非常に興味深いお話がたくさんありました。
私の知らなかった男の子の世界を垣間見ることができましたし、女の子の良いところ、難しいところもあらためて認識できました。
もちろん、次に紹介するお母さん方の例がすべての男の子、女の子に当てはまる特性というわけではありません。それでも大きな傾向としての、男女の子どもの違いを表していると思います。
そのうえで、「女の子だからこう育てよう」というよりは、「〈女の子ならでは〉の特性を考慮しながら、これからの多様性が求められる時代に対応できる女の子を育てよう」と考える参考にしてもらえればと思います。