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(2021/11/26 追記)

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電通の深層
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ルポ・エッセイ
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二番手以下など意味がない

『電通の深層』
[著]大下英治 [発行]イースト・プレス


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 衆議院議員の()(とう)(ただ)(ひこ)は、一九八八年に電通に入社した。


 電通を選んだのには、伊藤なりの理由があった。

〈将来、政治家としてやっていくためには、どうしたらいいだろうか?〉


 政治家へつながる道を模索していたとき、最初に浮かんだのは新聞記者だった。が、肝心な志望動機がまったく浮かんでこない。

〈これはダメだな……〉


 新聞記者を選択肢から外し、一から考え直した。

〈わたしの父親は銀行マンだ。東海銀行の副頭取という父親なりの立場をつくって仕事をしている。政治は大勢の人たちの影響力が必要になってくるが、この父にして及ぶことのできない権力というのは、いったい何だろうか?〉


 考え抜いた結果、一番重大なものはマスコミだと判断した。


 そして、幅広いマスコミの世界の中で、もう一歩突き詰めて考えたところ、広告宣伝の会社しかないとのゴールにたどり着いた。


 伊藤が政治家として歩んでいく上で、電通は「伝える」ということについて学ぶべき場所として最高の道場だった。

〈どうせ行くなら、ナンバーワンの道場に行かなきゃな。二番手以下なんて意味などない。一番こそ最高なんだ〉


 二番手の博報堂のことなど、まったく眼中になかった。


 一九八七年、電通は、新企業スローガンをコミュニケーションズ・エクセレンスと表現し、新しい電通の社章(ロゴ)に、こう書いた。

「コミュニケーションズ・エクセレンス・デンツー(Communications Excellence Dentsu=CED)


 この社章を見た伊藤は、確信した。

〈政治も同様だ。この会社を受ける。絶対に、ここしかない。電通しかない!〉


 伊藤が電通を受験する際、『小説電通』を参考に読んだことがあった。当時は、電通受験者にとっては、必読の書であったという。


 伊藤は、『小説電通』を読み、電通のことを嫌な会社だと思ったりすることはなかった。むしろ、無の中から有をつくり出すという広告業界の仕事内容にむしろ興味を強く抱いた。そこにやりがいさえ感じた。


 伊藤にとってみれば、広告業界の仕事は、政治と共通点があるという。


 その共通点は、二つ。クリエイティビティとコミュニケーション能力だ。


 決められた仕事をこなすのであれば、官僚だけでいい。しかし、政治家は違う。


 従来のルールにとらわれず、国民にとって何が必要かを考え、その時代時代に合わせた新しい法律や仕組みを創造しなければいけない。政治家には、有権者と接し、その思いを()みとるコミュニケーション能力と、そこから政策をつくりだすクリエイティビティの二つが必要なのだ。


 伊藤は、広告代理店ナンバーワンの電通の入社試験しか受けなかった。


 そして、面接の際、生意気にも、あえて申し出た。

「わたし自身は、将来、政治家になりたいと考えております」


 面接官は、さすがに驚いたような顔をしていた。

〈なんだ、こいつ?〉


 実にハラハラドキドキの面接試験だったが、「絶対に通りたい!」という意志が通じたのか、なんとか内定を取った。


 電通から内定が出た背景には、父親が当時、東海銀行副頭取ということも影響していたであろう。ただし、経歴書に父親の仕事を記載することもなければ、面接でたずねられたこともない。が、何らかの形で、電通側が調査をしていたはずである。


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