『サッカーと愛国』
[著]清義明
[発行]イースト・プレス
ガブリエル・クーンはオーストリアの生まれであり、特に中欧や東欧のサッカー事情に詳しい。この地域でのサッカーにおけるレイシズムや排外主義の話を聞いてみようとするが、ガブリエルはあまり良い顔をしない。こちらはどうやら反ユダヤ問題が大きいらしいのだ。
現在、ロシアとの領土問題と独立紛争に揺れているウクライナだが、アメリカ寄りの報道が続いているため、実際の事態は見えにくい。さらに複雑な民族問題が絡んでいるため、日本人には理解しづらい状況である。すでに失われていたはずの「東西」冷戦構造の見取り図で見ると、あたかも主権国家であるウクライナの領土を強引に併合して、反体制派を扇動するロシアが一方的に悪いかのように見える。