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『やり直し・差し戻しをなくす できる人の準備力』
[著]上阪徹
[発行]すばる舎
1 話すより聞くことが重要なコミュニケーション力
仕事の準備では、目的を確認するにも、ターゲットやアウトプットイメージを共有するにも、仕事の依頼者とのコミュニケーションが極めて重要になります。
ここで重要になるのが聞く力です。聞くことで私たちは多くを得ることができる。
私のような書く仕事の場合、聞くことで得られる内容が文章の素材になります。
文章はそれほどうまくなくても素材が魅力的であれば、十分に読者を惹きつけるものになると私は考えています。これが逆だと、どうにも寂しい話になりかねません。
そんなわけで、人に話を聞くということに、私はかなりのこだわりを持って今も取り組んでいます。
アウトプットのための準備力を求めている、読者のみなさんの少しでもお役に立てればということで「ヒアリング/インタビュー」の章を設けることにしました。
まず、人に話を聞くときには、大事な心得があります。「話を聞かせてくださってありがとうございます」という感謝の気持ちです。この心得をしっかり持っているかそうでないかを、話を聞く相手は実によく見ています。心得のない人には残念な気持ちが湧きます。逆に心得を持っている人には「話してやろう」という気になります。
依頼者から仕事の詳細について話を聞くときも、情報を得るために社内外にインタビューに行くときも、感謝の気持ちを持って臨まなければなりません。
その気持ちは立ち居振る舞いを通じて、しっかり相手に伝わるからです。
そもそも、今はみんな忙しい時代です。話を聞く側は「30分や1時間くらい」と思っているかもしれませんが、時間を取られるほうは極めて貴重な時間なのです。
貴重な時間をもらっているのだ、ということに気づくと行動が変わっていきます。
相手に無駄な時間を一切使わせまいと思うようになる。
約束時間ぴったりにインタビューを始めようと考える。
しっかり準備をして、相手にも納得のいく時間にしてもらおうと思う。
自分の時間を大切にする人は、相手の時間も大切にできる人です。自分の時間を大切に思うなら、相手の時間も大切に思う必要がある。
たったこれだけの心構えの違いで、ヒアリング/インタビューはまったく違うものになると私は思っています。
実際私はよくこう口に出して、取材を始めます。
「今日は貴重な時間をいただいて、ありがとうございます」
こういわれて、悪い気分になる人はいません。時間を大切にしている人であれば、なおさらです。話を聞かせてもらっている感謝の気持ちとともに、大事にしなければならない心構えだと考えています。
2 話しやすい場作りを意識する
心構えとしてもうひとつ。
私はヒアリング/インタビューというのは、極めて難しいものだという意識を常に持っています。