『相手のホンネは「しぐさ」でわかる』
[監修]匠英一
[発行]PHP研究所
私自身がシニア世代となり、加齢と動きの関係について考えていると、改めて“しぐさ”の持つ意味がみえてきました。それは、たとえ、自分の心に何か藤や矛盾があったとしても、身体はなんとか“一体化”しようともがいているということです。
たとえば、会社で出世するためには、上司の言うことを素直に聞くことが必要です。その際、心の側はそう在るべきと思い込もうとするわけですが、どうも納得できない面が生まれます。すると身体は、それを行動や身振りのどこかで示すのです。
ここに、しぐさという無意識の行為の持つ意味があります。私たちは誰でも自分の心が一貫したものであり、“自分”という指令塔の下で心と身体を動かしていると思い込んでいますが、精神分析学者のフロイトが心理療法の中で示したように、そうした中央政権のような自分はいないのです。
しぐさは無意識の心と強い結びつきがあります。つまり、しぐさの意味を理解すれば、その人の心を理解することができるということです。
本書は日常の何気ない人の行為や振る舞い、話し方などを例にとりながら、しぐさの意味について心理学的な考察を試みています。まずは興味のあるところから読んでみてください。本書を通じて他者、そしてあなた自身の本当の思いに気づいてもらえれば、著者冥利につきるというものです。
匠 英一