『相手のホンネは「しぐさ」でわかる』
[監修]匠英一
[発行]PHP研究所
魅力的な女性に上目遣いで見つめられ、ドギマギした経験のある男性は多いでしょう。職場の同僚なら「オレのこと好きなのか?」と期待しますし、デート中なら気分がさらに盛り上がります。
女性の上目遣いは、相手に頼りたい、甘えたい気持ちのあらわれだといわれています。相手を優位に立たせ、「あなたにおまかせします」という受け身の心理状態のときによく見られる視線です。
その効果を体験的によく知っている女性は、恋人におねだりするために戦略的に上目遣いを使います。デート中にお店に入って商品を手に取り、「わあ、これカワイイ!」「ねえねえ、似合う?」などと言って、上目遣いで彼氏を見つめるのです。男性の側もそんなふうに頼られ、甘えられるのがうれしくて、つい財布のひもをゆるめてしまうというわけです。
女性が上目遣いをすると可愛らしく、女らしく見えるともいわれます。頼りにする気持ちが伝わって男性がうれしくなることもありますが、か弱い存在に見え、守ってあげないといけないという心理が働くからでもあります。
というのも、上目遣いをする際には、あごを引くからです。ふたりとも立っていて男性が長身、女性が小柄なら自然と見上げる形になりますが、身長差がなかったり、座っている姿勢ではそうもいきません。上目遣いの視線を送る女性はあごを引いて少しうつむき、目だけ上に向けるため、目が大きく見え、体は小さく見えます。このことから、相手の男性には子どもっぽい存在と映り、守ろうとする本能が刺激されるということです。
このように女性の上目遣いが効果的に働くことは、男性の側も心得ておいたほうがいいでしょう。もっとも「その手には乗らないぞ」と思っていても、好きな女性にキラキラした目で上目遣いをされたら、おねだりでも、わがままでも聞き入れてしまいそうですが……。
何かをねだるときだけでなく、いつも上目遣いで彼氏を見ているとしたら、その女性はかなりの甘えん坊とみていいでしょう。自分から積極的に何かを仕掛けるというより、相手の男性にリードされたいタイプと考えられます。
また、上目遣いの視線は、恋人同士に限らず、子どもから親、部下から上司へと優位に立つ人に対しても使われます。相手に対してへりくだるしぐさなので、大物にこびようとするときは顕著にあらわれます。「あなたの言う通りにします」と絶対服従のサインを送っているのです。
動物の世界では下位にあるほうが体を低くして見上げる体勢になることが、広く知られています。人間も優位の相手に対しては、無意識のうちに頭を低くすることがあります。
もちろん、上目遣いは女性の専売特許ではなく、男性が女性を甘えたように見上げることもあります。相手の女性が母親のような存在であったり、頼りにしている上司であったりする場合に見られます。
注意したいのが、職場の同僚の上目遣いです。上下関係がないのに上目遣いをしてきたら、「おまかせするから引っ張っていってください」と依存する意識のあらわれかもしれません。自ら自発的、能動的に仕事を進めることを期待すると、うまくいかない可能性があります。
反対に、同僚がこちらを見下ろすような視線を向けてきたら、優位に立とうとしていると解釈していいでしょう。たとえ背が高くても、相手が尊敬する上司や大切な商談相手なら上から見下ろすことはないはずです。
なかには、あごを上げて相手を見下ろすのが癖になっている人もいます。自分がリード役になって物事を進めていこうとする積極派ですが、かなり支配的なところがあると見ていいでしょう。