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ビジネスに役立つ 超絶! 口説きの技術(きずな出版)
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はじめに

『ビジネスに役立つ 超絶! 口説きの技術(きずな出版)』
[著]櫻井秀勲 [発行]PHP研究所


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口説きは相手の心を動かす最高のビジネス・コミュニケーション



 職場でいちばん仕事ができる人を思い浮かべてみてください。「仕事ができる人」は、「信頼されている人」といいかえてもいいかもしれません。


 いま、あなたが思い浮かべたその人は、上司の信頼も厚く、取引先の人にも受けがよく、なぜか女性陣たちの評判もいい。

「どうしてアイツばかりが、うまくいくのか」


 あなたは、そんなふうに思っているかもしれません。

「あの人のようになりたい」


 そんなふうにあこがれている人もいるかもしれません。



 仕事ができる人と、うまくいかない人は、どこがどう違うのでしょうか。



 (はた)から見ていると、仕事ができる人は、自分の思うとおりに仕事をしているようです。彼が「こうしたい」と思えば、なぜか上司や取引先の担当者が「YES」といってくれるのです。


 それに引き替え、

「自分が何かやろうとしても、OKしてもらえない」


 と思うことがあるのではないでしょうか。


 そこで私がぜひ、あなたに教えたいのが「口説きの技術」です。



 私は大学を卒業して出版社に就職し、最初は大衆文芸誌の編集者になりました。そこで担当したのが、当時、芥川賞を受賞したばかりの松本清張です。


 初めて新入社員として編集会議に出たときのことです。


 会議では、編集部員は企画のアイデアを発表していきます。


 新人の私にも、編集長はアイデアを聞いてくれました。

「櫻井クンが依頼したい作家はいますか」


 私が編集者になったのは、その年に芥川賞を受賞した松本清張の作品を読んだからといっても過言ではありません。


 もともと作家志望だった私は、その作品を読んで、自分の作家としての才能は到底、それに及ぶことはできないと見切りをつけたのです。だから編集者になったら、松本清張の担当になることを心秘かに決めていました。

「松本清張さんにお原稿をお願いしたいです」


 会議の席上でそういうと、先輩たちがどっと笑いました。



 私が配属された文芸誌は大衆向けの雑誌で、直木賞作家の先生方は執筆されていましたが、芥川賞作家の原稿を載せたことはなかったのです。


 ちなみに「直木賞」とは、直木(さん)(じゅう)()という作家に由来する文学賞で、無名、新人作家、または中堅作家による大衆小説作品に与えられるものです。


 直木三十五は作家であるとともに、無声映画時代(昭和の初め)、脚本家、映画監督としても活躍しました。代表作の『南国太平記』をはじめとして、作品の多くが映画化されています。直木賞は、直木が43歳で亡くなった翌年の昭和10年、当時の文藝春秋社長・菊池(かん)により設置されました。


 直木賞はエンターテインメント系の作品に与えられることが多いですが、直木三十五こそ、そのパイオニアだったからといっていいでしょう。

「芥川賞」は、作家、芥川龍之介に由来する文学賞で、純文学の新人に与えられる文学賞です。直木賞とともに創設されました。


 松本清張の作品といえば、ドラマや映画で見たという人は多いでしょう。そのイメージからすれば、彼を直木賞作家だと思いがちですが、それはあながち間違いとはいいきれません。なぜなら、芥川賞を受賞した『()る「()(くら)日記」伝』は、もともと直木賞候補であったのを、選者の永井龍男が激賞して、「これは芥川賞候補作だ」といって、2日後の芥川賞選考会に回され、受賞したという経緯がありました。


 それはともかく、直木賞作家ならいざ知らず、いくら受賞したばかりとはいえ、芥川賞作家の松本清張に原稿を依頼するなど、当時の「大衆小説編集者の常識」からいえば、「冗談もいいかげんしてくれ」というような話だったわけです。


 普通なら、新人の(ざれ)(ごと)として聞き流されてしまったでしょうが、思いがけず編集長がGOサインをくれました。

「おもしろいから、やってみなさい」


 後に自分が編集長の立場になってわかるのは、

「新人だからこそ、常識を(くつがえ)すようなことができる」


 ということがあります。それに、どうせ「ダメで元々」です。


 こうして私は、後に日本人なら知らない人はいないというくらい有名になる作家、松本清張の全出版社の最初の担当編集者になることができました。



 ところで、女性を口説くテクニックには手順があります。



 まずは、(1)自分の存在を知ってもらうこと。


 次に、(2)信頼に足る人物だということをわかってもらうこと。


 ここで、ようやく、その女性と「お近づき」になれます。


 これは相手が女性に限りません。すべての人間関係は、ここから始まります。



 松本清張さんとのおつき合いも、例外ではありません。


 当時、清張さんは北九州の小倉に住んでいました。当時の連絡方法の主流は手紙です。まだ家庭に電話が普及していない時代でした。出版社の編集者として、松本清張さんに原稿依頼の手紙を書きました。


 それから手紙のやりとりが始まりましたが、私は、「東京に出てくるべきだ」と提言しました。当時もいまも、出版の中心は東京です。もっと清張さんに活躍してほしいと思ってのことでした。


 松本清張さんは私より22歳年上でした。芥川賞を受賞した頃は43歳になっていました。いまから50年以上前の40代といえば、もう中年です。松本さんは、芥川賞を受賞しても、東京に移住することは考えていなかったようです。当時は、上京するのはそれほど大変なことでした。


 けれども一念発起して、まずは勤め先の朝日新聞西部本社から東京に転勤させてもらって、上京されました。


 東京・有楽町で初めて会ったときの松本さんの(ぎょう)(てん)したような顔を、私はいまも忘れることができません。


 松本さんは、なぜか私を「編集長」だと勘違いしていたのですが、現れたのがヒョロヒョロした若造で、(がく)(ぜん)としたそうです。

「編集長が東京に来いというから出てきたのに、これからどうしたらいいんだ」


 松本さんは、そんなふうに思っていたのではないでしょうか。


 それでも、いまさら小倉には帰れません。腹をくくるしかなかったのでしょう。


 松本さんが作家として大成することができなければ、彼にとって私は「()()師」のようなものですが、そうならずにすんだことは周知の事実です。



 なぜ、松本さんが東京に出てくる気になったかといえば、少し、自慢していってしまえば、私の「口説きに落ちた」からです。


 もちろん、相手は大作家となる松本清張です。作家というのは、あらゆる視点から物事を見ます。そうでなければ、登場人物のセリフひとつにしても、ピッタリしたひと言を表現することはできません。


 そんな人間観察の天才ともいうべき人物を落としたところに、「口説きの技術」があります。



 私が松本清張を口説けたのは、手紙によるところが大きいでしょう。


 だから、あなたも手紙を書きなさい、といいたいのではありません。


 時代は変わりました。時代が変わればツールも変わるのが世の常です。


 けれども、人の心を動かすものは、どんなに環境が変わっても、変わることはないのではないでしょうか。


 私の手紙を読んで、松本清張が「編集長」だと勘違いしたのは、そう思っても不思議ではないものがあったのでしょう。


 メールが主流のいまの時代にも、編集者が原稿依頼で手紙を書くことはめずらしくありません。私が代表を務める出版社でも、編集部員がそれをすることがありますが、その際、私が(てん)(さく)することもあります。


 手紙には手紙のルールがあります。自分では「そんなつもりはない」ことでも、人によっては失礼になることもあります。


 また、ふだん話している分には気にならないことも、手紙に書いてあるとキツい表現になることもあります。


 丁寧であればいいかといえば、形ばかりにこだわるあまりに、(いん)(ぎん)()(れい)になることもあります。


 こうしたことで致命的なのは、そんな手紙をいくら出しても、相手の心は一向に動き出さないということです。


「私は手紙を書くことがほとんどないので」という人は多いでしょう。


 けれども、私にいわせれば、たとえ手紙は出していなくても、メールや、ちょっした会話で、同じようなことをしている人は、決して少なくありません。

・彼氏、彼女ができない。

・恋愛が長続きしない。

・友だちができない。

・友だちになっても、いつのまにか会わなくなってしまう。

・上司から、なぜかよく叱られる。

・クレームを受けやすい。

・わけもなく担当をはずされた。


 このようなことがあったときには、自分の気づかないうちに「口説き」に失敗していたのかもしれないと思ってみることです。


「仕事と口説きは関係ないんじゃないですか」という人がいるかもしれません。けれども、すべての人間関係は、口説きから始まるように、仕事もまた、相手を口説けるかどうかにかかっています。


 うまくいかないのは、うまく口説けなかったからです。


 営業でトップクラスの成績を出せる人は、口説きの天才といっていいでしょう。本人は口説いているつもりがないのに、相手は、勝手に口説かれてしまうのです。


 口説くというのは、相手を騙すことではありません。


 また自分の利益だけを追求して、うまくいくものではありません。



 相手にとっても、自分にとっても、「いいと思うこと」を進めるのに、どうすればいいかと知恵をしぼり、そのために工夫していくことが、「口説き」の基本です。


 これを知らないでは損をする。損はしないに越したことはありません。


 いままでちょっとしたことで、大きな損をしてきたあなたに、その原因を知っていただき、改善の糸口を見つけていただくことがこの本の目的です。


 むずかしいことはありません。


 あなたの人生が、より明るく楽しいものになりますようにと願っています。


櫻井秀勲 

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