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反知性主義と新宗教
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生き方・教養
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多義的に変化する日本の反知性主義

『反知性主義と新宗教』
[著]島田裕巳 [発行]イースト・プレス


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「はじめに」でも述べたように、「反知性主義」ということばは、アメリカの歴史学者、リチャード・ホーフスタッターの『アメリカの反知性主義』にはじまるものである。この著作の原題は、"Anti-intellectualism in American Life"である。


 ホーフスタッターのいう反知性主義は、知性や知的な権威、さらにはエリート主義の立場をとる知識人に対して懐疑的で、批判的な主張、思想のことをさす。


 ただし、最近の日本社会で反知性主義ということばが持ち出されるときには、ホーフスタッターが言うところからはかなり違った意味で使われている。


 毎日新聞東京学芸部の記者である(すず)()(ひで)()は、「反知性主義とは作家の(ひやく)()(なお)()さんの『沖縄の新聞は潰さないといけない』発言、『嫌中反韓』のネット右翼的言論、脱原発を通り越した過剰な『反放射能』まで、地位や思想的立場を問わず広がる、決めつけや短絡の目立つ思考・姿勢を指す」と述べている。


 日本の反知性主義には、「自分こそ正しい」「批判は受け付けない」といった雰囲気が漂っており、その背景には、効率がよく即効性のある知的能力を「役に立つ」ものととらえ、立ち止まって沈思黙考するような知性を「役に立たない」とする空気があるというのである(「〈記者の目〉戦後70年夏 反知性主義を考える」『毎日新聞』二〇一五年七月二二日付)。

「はじめに」でふれた『日本の反知性主義』の編者である内田樹も、ホーフスタッターの著作にふれつつ、現代日本の反知性主義はそれとはかなり趣を異にしており、「為政者からメディアまで、ビジネスから大学まで、社会の根幹部分に反知性主義・反教養主義が深く食い入っていることは間違いありません」と述べている。内田は、()()(しん)(ぞう)政権による「民主制空洞化」の動きと、それを支持する国民のあり方にも反知性主義を見ようとしている。


 ことばや概念というものは、その意味が一つに決まるわけではない。それを使う人間がそこに自由にさまざまな意味を盛り込んでいくことができる。その点で、反知性主義を、現行の政治体制への批判、あるいは、現在の社会に顕著な動向や方向性への批判として用いることは、なんらさしさわりがないということになる。


 だが、そうなると、反知性主義として指摘された対象や主張には、まったく価値がないということにもなってくる。それは、否定し、克服すべき対象としかされないからである。


 ただ、ホーフスタッターの著作に立ち戻ってみるならば、そこでは、現在の日本社会で使われているような意味で反知性主義ということばは使われていない。むしろ、とくに権力を振りかざす知識人に対する批判という点で、反知性主義がアメリカの歴史のなかで果たしてきた役割に一定の評価を与えているのである。


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