『「お金が貯まらない!」が治る本』
[著]横山光昭
[発行]PHP研究所
これまでに、「ああ、お金を貯めなければ!」「貯金を増やしたいなあ」と思ったことは誰しも一度は経験があるのではないでしょうか。
では、質問です。
あなたはなぜお金を貯めたいのでしょう?
将来、自分の家が欲しいから?
海外旅行に行きたいから?
老後が心配だから?
理由はいろいろありますよね。
そして、何をするにもお金がかかります。
だから、お金を貯めておきたい。
なのに、なぜかお金はいっこうに貯まらない……。
特に浪費しているつもりもないし、毎日ごちそうばかり食べているわけでもない。
買い物三昧しているわけでもないし、ブランド品を買い漁ったりと、派手な生活を送っているわけでもない。
なのに……、なぜかもらった給料はいつの間にかみるみるなくなっていて、次の給料日前にはカツカツの状態。貯金するなどという余裕もない。
「なぜお金が貯まらないのだろう?」
と不思議に思っている人も多いのではないでしょうか。
でも、お金が貯まらないのには、「貯まらない理由」が必ずあるのです。
そして、残念ながら「お金を貯めたい」と思っているだけでは、お金はひとりでには貯まりません。
まずは「貯めよう!」という“意識”をしっかり持つことが大切です。
ところで、「貯金」というと、どうも「生活をギリギリまで切り詰め、爪に火をともすような生活をしなければいけない」というような、なんとも厳しい生活を強いられるようなイメージを抱きがちですが、それは違います。
決して、食べたいものややりたいことをとことん我慢して、ギリギリまで節約してまで貯める必要はないと、私は思うのです。
なぜなら、お金は人生を楽しむためにこそあるべきもの。
その人生の楽しみを犠牲にしてお金を貯めようとするのは、本末転倒というものです。
「ムダな出費を減らして、かけるべきところにだけ、お金を使う」
これこそが、私の望む「貯金スタイル」です。
楽しみながら、ムリせず貯めてハッピーになる! これが私がもっとも目指すところですし、皆様にもぜひ実行していただきたいことです。そして、私のところにいらっしゃるお客様にも、「どうしたら、ムリなく、我慢しすぎることなく、貯金を増やしていくか」を、お一人おひとりの状況に合わせながら、アドバイスさせていただいています。
いずれにしても、「○○のためにお金を貯める!」という目的をはっきりと決めないと、いくらお金を貯めても、不安は解消しません。
実際、「お金不安症候群」にかかっている人が、最近増えているように思います。
「お金がいくらあったとしても、不安が尽きない」という人です。
まあ、こういう世の中ですから、不安になるのもムリはありませんよね。
年金の支給額はどんどん減少する一方。自分たちが高齢者になった時に、「本当に年金は支払われるのだろうか?」と心配にもなるでしょう。
さらに、働けど働けど、収入は増えない。いや、むしろ減っているかもしれません。
なのに、税金は高くなるし、物価はどんどん上がるし……。
考えれば考えるほど、「将来、ちゃんと生きていけるのだろうか?」と、焦りにも似た気持ちがわいてくるのも当然のことだと思います。
ですから、「転ばぬ先の杖」として、「今後のことを考えて、お金でも貯めておこう」という漠然とした動機が生まれるのも、自然の流れでしょう。
でも、このような「お金不安症候群」にかかっている方は、たとえ、いくらお金を貯めても不安が解消することはありません。なぜなら、「何のためにお金を貯めるか?」という目的がなく、お金を貯めること自体が目的になってしまっているからです。
ですから、たとえお金がいくらあっても、「まだ足りないかもしれない」という気持ちに駆られてしまうのです。
あなたは何のためにお金を貯めたいですか?
まずは、お金を貯めるための「目的」を決めましょう。
そして次に、自分の生活を見直し、ムダな出費がないかどうかを点検してみる。
これが、あなたが貯金体質に変わる第一歩なのです。
少しずつ生活を改善していくだけで、自然とお金が貯まるようになる。
そこにはムリもなければ、辛いこともありません。
こんなにいいことはありませんよね?
この本を読んで、ぜひとも「お金が貯まらない自分」から卒業していただきたいと思います。
本書があなたのお役に立てることを、心からお祈りしています。