これまでみてきたように、「結婚」には女性に長年つきまとってきた美醜の価値観をも一変させるほどのパワーが秘められているから、女性たちは負け犬になるまいと結婚へ向かってまっしぐらに走りたがる。
結婚をするということは「一家の主の妻となること」、つまり「主婦」になることである……とここまで書いて、わたしは重大なことに気づいた。それは「主婦」という言葉がもはや死語になりつつあるのではないかということだ。
その理由について述べる前にほんの少し私事におつき合い願いたい。
実はかつてわたしは、「主婦」という言葉が社名につく主婦の友社という出版社に編集者として十五年近く勤めていた。担当していたのは、その会社の主力商品だった『主婦の友』という主婦向けの月刊誌だった。