年齢差が二十歳近い、入社五年目の部下の愛子との間には信頼関係がある。そう洋一は信じきっていた。洋一が男の部下たちと飲みに行くときに一緒に誘うと、ほかの女性社員は断る者も多かったが、愛子は決して断らない。また、愛子の口から直接、洋一の仕事を高く評価していることも聞いていた。
こうなると、男は単純である。洋一は愛子が自分に全幅の信頼を寄せていると思った。洋一でなくても男なら皆そう思ってしまう。
もちろん、洋一は愛子を信頼できる部下だと思っていたが、女性として愛子に魅力を感じていたわけではない。洋一のタイプではなかった。愛子には異性としての色気がまったく感じられなかった。