成果主義による数値目標がいかに愚かなことか、実際の例で説明しましょう。
一九九九年から二〇〇五年までの七年間、いじめ自殺者の数は文科省の報告ではずっと「ゼロ」更新を続けていました。あれだけいろいろな子が「いじめ」によって亡くなっていることが報道されていたのに、です。
ゼロ更新が疑問視されたのは、七通の遺書を残して教室で自殺した北海道滝川市の小六女児の事件があってからでした。遺書の中にいじめられていたことがはっきり書き残されていたのに、自殺した二〇〇五年の文科省のデータは「いじめ自殺ゼロ件」になっていたのです。
その齟齬に気づいた社会全体から「おかしいじゃないか!」と文科省に批判が集中し、文科省が改めて再調査してみると、七年間で一二件のいじめが確認されました。