親睦を深めたいとき。信頼関係を築きたいとき。絆を深めたいとき
昔のコミュニケーションは「メール」ではなく「電話」が主流でした。
記者・編集者として駆け出しの頃を振り返れば……。
著名人や経営者、政治家の方々に取材を申し込んだり、電話を使ってインタビューする際は、事前に質問事項を用意して頭のなかを整理し、確実に電話に出ていただくために、相手の状況を想像しながらタイミングを見計らい、「失礼のないように」と、自分の気持ちを落ち着かせることに苦労しました。むろん、相手が電話に応じてくれてからは、「緊張」しながら受話器を握りしめていたものです。
しかし、今では電話よりもメールが主流。気軽に意思疎通ができるようになりました。とはいえ、「わたしは電話でなければ気が済まない!」という方もいらっしゃいます。
メールと違って肉声は、イントネーション、言葉遣い、話し方などを通じて「若々しい女性だ」「機嫌が悪そう」「地方の方ね」「誠実そうだなあ」と、様々な印象や情報をもたらしてくれます。生身の声の方が「コミュニケーションをしている」という実感が強いわけで、「わたしは電話主義です」という方がいらっしゃるのも頷けます。
「わたしは、社員とのコミュニケーションをもっとも大事にしてきたからこそ、業界ナンバーワン企業に成長させることができました」という、ある元経営者も「電話主義」のおひとりで、彼と知り合いになってからというもの、時々お電話をいただくようになりました。
「特別、用事はないんですが……(笑)。山岸さんのお声を聞きたかっただけなんです……。仕事は順調ですか?」「ただ、山岸さんのお声をお聞きしたかっただけなんですが……。今度、よろしければ、食事でもいかがですか?」等々。
こんな具合に、ひとまわりもふたまわりも年齢差のある若いわたくしごときに、常に関心をもっていただいたことに、大変感激させられた経験があります。
たとえば、みなさんも恋人から「あなたの声が聞きたかっただけなの」とか、田舎の母親から「あなたの元気な声が聞きたかっただけなのよ!」というひと言が、妙にうれしく感じられませんでしたか?
特別な用事がなくても、「人は関心を示す方に好意を抱く」と心得ましょう。
ポイント
相手を忘れかけたら、電話をかけてみる