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(2021/11/26 追記)

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子どもが親に「別に……」しか言わないワケ
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くらし
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第二章 大人の知らない子どもの世界

『子どもが親に「別に……」しか言わないワケ』
[編著]石田志芳 [発行]PHP研究所


読了目安時間:18分
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小学校6年生集団自殺未遂事件



 デビューして間もない頃、ある小学校から卒業式で歌ってほしいとの依頼が来た。

 自分が小学生だった頃を想いだしながら、子どもたちへメッセージソングを書いた。
「想い出を抱きしめて」という曲だ。

 小学校から中学校に上がる時、子どもたちは新しい場所での生活や環境変化への大きな不安を抱えて卒業式を迎える。

 小学校は担任制でいつも同じ先生がそばにいてくれた。まだ心が小さかった頃から大人への階段を上る段階でできた友達は宝物だ。

 中学校はいろんな学校から知らない子たちが集まり、教科ごとに先生が変わるということに心を痛めて悩む。

 新しい友達ができるだろうか、先生は恐くないだろうか。何よりも、イジメにあうのではないかという不安は大きい。

 小さな心に大きな不安を抱えながら迎える小学校の卒業式は、子どもたちにとって高い高いハードルなのだ。

 それを飛び越えられる安心感と勇気を、家庭で親が与えてやらなければならない。

 だが、親は中学に入ると受験の話や塾の話などで子どもの不安に気づこうともしない。

 子どもたちは不安を口にし、怒られるのが恐くて言えない。

 卒業式で、歌だけではなく、私は、私自身が激しいイジメにあい、親にも相談ができない中を耐えてきた。自殺も考えたが、生きていたからこそ、みんなと出会え、夢をかなえられていると話した。

 卒業式が終わった後、控え室に6年生の女の子が5人やって来た。

 全員、目が真っ赤になっていた。

 卒業式で泣いたのだろうと気にしなかったが、彼女たちは驚く言葉を口にした。
「しほさん、私たち、明日みんなで首を吊る準備をしていたんです」

 理由を聞くと、彼女たちが答える。
「中学に行ってもどうせ楽しいことなんてないだろうし、親や先生も話なんて聞きやしない。自分さえ良ければいい大人ばかり…」

 私は彼女たちに言った。
「私も死のうとした時は何度もあったよ。でもさ、死ぬのっていつでもできると思わん? みんなは夢ってないの?」

 彼女たちが答える。
「夢はあります! でも親に言っても聞きやしない。口を開けば『勉強しろ』。夢も話せない」

 私はこう返した。
「じゃあな、死ぬ前に100人の大人に夢を話そう。1人でも応援してくれる人がいたら、生きて夢を目指そうや!」

 すると、驚く答えが返ってきた。
「今日、しほさんに出会えて、夢を応援すると言ってくれました」

 そう言って彼女たちは1人ずつ、夢を話してくれた。

 一通り話し終わると、1人の子が近くに来て言った。
「私たち、親の前でも泣いたことがないのに今日、初めて泣きました。しほさんに出会って、大人も捨てたものじゃないと思えました」

 そして最後に全員が声をあわせて私に言った。
「私たち、生きてみようと思います。生きて、しほさんみたいに子どもたちの声を聞ける大人になりたいから、頑張ります!」

 彼女たちは、自分たちの卒業式で歌うためだけに必死で私が曲を書いたことに喜んだらしい。

 歌手になるのが夢だと語った彼女たち。

 単なるアイドルになることに意味を感じないという。

 私のように人の心を動かせる歌を書いてみたいと、自分の夢を確かなものにできたというのだ。

 嬉しかった。

 テレビに出ているからといって“すごい人”ではない。

 何かを目的に持ち、それをやり切るための“ぶれない思い”が大切なのだ。
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