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にっぽん猫島紀行
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ルポ・エッセイ
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猫は変わらない、変わり続けているのは人間社会

『にっぽん猫島紀行』
[著]瀬戸内みなみ [発行]イースト・プレス


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 猫が自由気ままに世の中を歩ける日は来るのだろうか。


 相島(あいのしま)の猫たちを見ながらこう考えた。ここの猫たちはとてもひと(なつ)っこい。

「でも二〇年ほど前は、もっとなんというか、野性的だったんですがねえ」


 と、「猫博士」こと(やま)()(あき)(ひろ)先生がいう。触ろうとすると、フーッと()(かく)されるような感じだったそうだ。


 猫なんてどこにでも、その辺にいるでしょう、といわれるかもしれない。そうではあるが、そうでもないのだ。猫もうっかり外を歩いていると、保護者はいるのかと心配され、いないとなると、捕まって手術を受けなくてはならない昨今なのである。


 そのことを批判しているのでは決してない。そういう活動をしているひとたちだってみんな、できれば捕まえたり、手術したりなんてしたくないと思っている。けれどもいまどきの社会では、ほかに手段がないのだ。そうでなければ人間に殺されて、処分されてしまう猫がもっと増えてしまう。


 猫の年間殺処分数は約七万頭に及ぶ(平成二七年、環境省統計)




 人間のそばで暮らし始めたおよそ一万年前から、猫はその姿やかたち、習性をほとんど変えていないという。これは犬や牛、豚といったほかの家畜と比べて考えれば、驚くべきことなのだ(飼いならされ、人間の生活に合うように改良されてきたという意味では猫も立派な「家畜」なのである、ちょっと意外だけれども)。原種であるリビアヤマネコとも、あまり変わっていないように見える。


 飼い主の元を勝手に抜け出して、自分が選んだ相手と繁殖するという動物も猫だけである。家畜なのに、人間は猫をコントロールできないのだ。

「猫は変わっていません」


 と、山根先生。

「変わり続けているのは、人間の社会のほうです。だから猫を見れば、社会が分かってしまう」


 猫と人間とは相思相愛のはずだ。


 備蓄した食糧を食い荒らし、ときに病原菌を媒介するネズミは、人間にとって脅威だ。そのネズミを狙って猫はひとに近づいた。ひとはそれを歓迎し、同時に猫の美しい、しなやかな容姿を愛した。猫は賢く、かわいがられていることを理解して、ひとになついた。


 そうやって一万年暮らしてきた。

「人間が猫に不妊・去勢手術をするのを否定はしません。現状では仕方のないことだと思います。


 でもそれが西洋医学的な対症療法だとしたら、これからはその先の、いわば東洋医学的な解決法を探していかなくてはならないのではないでしょうか」


 生物学者である山根先生は、長年に渡って猫の生態を研究してきた。そしてその立場から、ひとと猫とが共存できる社会とはどんなものなのか、ということを考えている。


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