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不安のしずめ方 人生に疲れきる前に読む心理学
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一、不安だから現状にしがみつく

『不安のしずめ方 人生に疲れきる前に読む心理学』
[著]加藤諦三 [発行]PHP研究所


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不幸を手放さない人たち



 私が、「人は時に、死んでも不幸を手放さない」と言ったら、あなたはどう思うだろうか。

 多くの人は「まさか」と思うだろう。

 人は誰でも幸せを望んでいるから、「死んでも不幸を手放さない」などということはあり得ないと思うに違いない。

 しかし、悩んでいる人と四十年以上にわたって接してきた私の感想は、「人は時に、死んでも不幸を手放さない」ということである。

 私はこの何十年間、命がけで不幸に執着する人を何人も見てきた。

 それは、人間にとって、不幸よりも不安のほうがはるかに強い感情だからである。

 人は不安を避けるためには、死にものぐるいで不幸にしがみつく。

 なりふり構わず不幸にしがみつく。

 私は二十年以上も、ラジオのテレフォン人生相談のパーソナリティーをしている。

 そこで、つくづく感じるのは、悩んでいる人は、なんでここまで不幸な結婚にしがみつくものなのかということである。

 不幸な結婚でノイローゼになっている奥さんがいる。

 ひどい夫と離婚することを(すす)めても決して離婚しようとしない。たとえアルコール依存症の夫でも今の生活が変わるのが不安なのである。

 離婚した先の人生がどうなるか不安だから、たとえ暴力を振るう夫でも離婚はできない。

 不安を突き抜けて先に行くよりも、今の慣れた不幸のほうが生きやすい。

 人は不安だからこそ、今の自分に固執(こしつ)する。

 不安であればあるほど、現在の自分へとリビドー(本能的エネルギー)は固着する。

 そして、自分が離婚の不安に耐えられないことを、「子供がかわいそうだから」といいわけをする。
「子供のために」という言葉で、どれほど多くの子供が犠牲(ぎせい)にされているかわからない。

 奥さんは、離婚して未知の生活が始まることが不安なのである。

 なじみのない世界で自分は生きていけるかどうか不安なのである。

 人は、自分の実力が試される場面で不安になる。

 彼女は仕事をしたことがないので、自立することに不安がある。

 こういう奥さんは、たいてい、自分は社会で働けないと夫から思い込まされている。

 自分は生きる能力がないと思っているから、現状に執着する。

 じつは、現状に執着するというのは過去に執着するということなのである。


未知の世界に踏み出せない



 不幸な女性ほど過去に執着する。そして執着すると、自ら不安を引っ張ってくる。

 彼女が社会で働くことに不安があるから、冷酷な夫はそこをついて勝手放題をする。

 未知の世界に足を踏み出すのは、不安で恐ろしい。

 そこで彼女は、先に踏み出すまいと命がけで現在の不幸にしがみつく。

 こういう人たちは、不安から離婚はできないが、離婚をしないからといって今が安心だというわけでもない。

 未来に向かって行動を起こしていないからである。
「将来、不安なんですよねー、いろんなことに疲れましてねー」と言う。

 現状にしがみつく人は、今を生きていない。

 不幸な女は、過去の男がくれたペンを捨てられない。

 そのペンに心理的に依存しているから捨てられない。

 もしこの奥さんが、「自分はどうなってもやっていける」と思えば、離婚を恐れない。

 生活の変化を恐れない。

 しかし、「自分はどうなってもやっていける」と思えなければ、生活の変化は怖い。

 今、現在がどうにもならなくなっているときは、現状を「守る」のではなく、「破る」ことである。
「破る」とは「捨てる」こと。

 執着を捨てる。

 過去をすべて捨てる。

 捨てるとは、不幸をうけいれること。

 不幸をうけいれれば、今を生きられる。

 うつ病になりそうな人は、「今がどうにもならなくなっている」のに、不幸をうけいれないで自分の身を「守ろう」とするから、結局、うつ病になってしまう。

 今、濁流(だくりゆう)(あえ)いでいる人はその濁流を離れない。
「あっちの川に行け」と言われても行こうとしない。

 でも、未知の不安を乗り越えた人は、次の川に行く。


現状にしがみつくから、挑戦できない



 今、離婚を例に挙げたが、会社でも同じである。

 この会社が自分には向いていないと思っても、その会社を辞めないのは、その先がどうなるか不安だからである。

 殺したいほど憎らしい上司と一緒に仕事をするのは、会社を辞めた後の生活の不安、社会的威信(いしん)を失う不安があるからである。

 不幸よりも不安の感情のほうが強いように、怒りの感情よりも不安の感情は強い。

 会社を辞めた後の生活の不安、社会的威信を失う不安、それらの不安ゆえに、ビジネスパーソンは、どんなにイヤな会社でも辞めない。
「家族のため」というのは、会社を辞めない口実である。不安だから今の会社に固執する。

 今の状態に固執するから、これをやってみようかと、なにかに気軽に挑戦できない。

 失敗したら失敗したでいいやとは思えない。

 不安な人は、家を変わるのも、職業を変わるのも、困難である。

 よく、延々と会社の悪口を言っているビジネスパーソンがいる。

 飲み屋で延々と上司の悪口を言っている。
「そんなにイヤなら、会社を辞めればいい」。こちらがそう言うと、「今の会社を辞めたら食べていけない」と言う。

 しかし、じつはそうではないのだ。今なら、ホームレスになっても食べていける。

 本当は、会社を変わることが不安なのである。

 あるいは今の会社を辞めたら、次の会社が見つかるかどうか不安なのである。

 だから、「会社を辞めたら家族を食べさせていけない」と言う。

 住んでいる地域でも同じである。この地域が自分には向いていないと思っても、引っ越さないのは、その先が不安だからである。

 未知の世界は不安だから、現状がどんなに矛盾に満ちていても、人は現状にしがみつく。


自分の小さな世界にとじこもる



 しかし、「自分はどうなってもやっていける」と思えば、不幸な結婚なら離婚もするし、殺したいほど憎らしい上司のいる会社なら辞める。

 利己主義、自己中心で騒音を立てる隣人のいる地域から引っ越しもする。

 不安に(おび)える人は、自分の力を試す機会を避ける。

 彼らには創造性を発揮する機会はない。そういう機会を自分から避けてしまう。

 そして、なによりもそういう人には、生活圏の閉塞(へいそく)性は避けられない。

 不安から現状に執着する人は、小さな自分の世界にとじこもらざるを得ない。

 さらに、新しい人との出会いがない。新しい人間関係を築いていくことができない。

 新しい人とつきあい始める不安よりも、今のイヤな人とのつきあいを選ぶ。

 そして辛い毎日を過ごす。辛さに耐えて頑張って生きる。

 つまり無駄な努力をする。



 自分を信じられない人は、無駄な努力をします。

 無駄な努力とは、自分を不幸にするための努力です。

 自分を信じる人は、自己実現の努力をします。

 自分を信じられない人は、自己実現の努力を嫌います。


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