運命をうけいれれば不安はしずまる
では、「緊張の原因である問題解決の方向へ」とはどういうことであろうか?
私はよく「デモステネス症候群」ということを言う。
努力するがうまくいかない人々の症状のことである。なにかを間違えた人々の努力である。
デモステネスは、古代ギリシャの大雄弁家である。
Rの発音がうまくできない先天的な欠陥を克服するために小石を口に入れて発音したり、海岸で波音にさからって大声をあげたり、山をかけのぼりながらホメロスの詩を朗誦するという血のにじむ練習をかさねて、ついに雄弁家としてきこえるようになったという。
その後、ギリシャの自由を守るためにマケドニアとの戦に臨んだが、二度にわたって敗北し、最後には自殺した。
デモステネスこそ、典型的な燃え尽き症候群の例である。