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不安のしずめ方40のヒント
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はしがき

『不安のしずめ方40のヒント』
[著]加藤諦三 [発行]PHP研究所


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 人は、さまざまな良くないことを予期して不安になる。

 自分の弱点を意識している人は、その弱点が人目にさらされるのではないかといつも(おび)えている。弱点がばれたらどうしようかといつも不安である。

 人と会うときに、相手から悪く思われないかと不安になる。嫌な目に遭うのではないかと不安になる。

 自分の立場や考え方を主張した後、出しゃばりと思われたのではないかと不安になる。

 自分が何かを隠している。人前に出るとそれを見破られるのではないかと不安である。そして仲間が自分のことをどう思っているかと不安である。

 日常生活での不安をあげていけばきりがない。失敗をして人に笑われないかと不安である。人に認めてもらえないのではないかと不安である。人が自分の悪口を言っていないかと不安である。自分の評判が悪くならないかと不安である。

 若い女性は、パーティーに行って誰からもダンスに誘われないのではないかと不安である。

 学生は明日の試験が良くできないのではないかと不安である。

 卒業して新しい会社に入っても不安である。上司から仕事を言われても「この仕事が自分にはできるだろうか?」と不安になる。そうなると不安で仕事に専念できなくなる。これからやる仕事に集中できなくなる。

 会社に入り会議に出席する。そして会議は終わる。

 そして皆が自分を重要な人間と思ってくれたかどうかと不安になる。あまりしゃべりすぎて嫌われやしなかったかと不安になる。

 部下は上司に気にいってもらえるかどうか不安である。自分の能力に不安がある。

 誰を昇進させるかの権限はすべて上司が握っているとする。そうなれば、自分は上司に気にいられているかどうか不安である。上司に嫌われていないかと不安である。

 では上司は不安でないかというと、上司もまた不安である。責任ある立場につけば毎日不安で不安でたまらない。昇進したビジネスパーソンが昇進うつ病などに(おちい)るのは不安だからである。

 明日の仕事がうまくいかなかったらどうしよう、と不安である。仕事はスケジュール通りいくだろうかと不安である。

 不安なビジネスパーソンは明日の仕事が心配で眠れない。「明日の仕事が失敗しても自分は殺されない」と言い聞かせても不安は消えない。やはり仕事に失敗して、人の信用を失うかもしれないと不安である。

 新しい恋人とデートをする。別れた後で、自分が恋人に好印象を与えたかどうか不安である。

 相手の愛を確信できなくて不安になる人は、好かれよう好かれようと努力しながら、しつこくなって結果として嫌われてしまう。

 長い付き合いの恋人でも、少しギクシャクすると、その恋人が自分を愛してくれているかどうかが不安になる。

 デートをして別れてから、あんなことを話題にしたから品が悪いと思われて嫌われるのではないかと不安になる。食事中にあんなことをしたから軽蔑されたのではないかと不安になる。

 人は自分の価値が(おびや)かされると不安になる。

 また人は見捨てられる状況で不安を感じる。

 見捨てられることが不安になるのは、人が皆(さび)しいからである。

 いわゆる「良い子」は親の前で不安である。いつもびくびくしている。それは自分の言動で親がいきなり怒り出すからである。親が機嫌いいときでも、いつ怒り出すかと不安である。

 従順が身についたいわゆる「良い子」は、大人になってからも何をするにも人の許可を得ようとする。いちいち他人の許可を得る必要もない些細(ささい)なことまで許可を得ようとする。許可を得ないと不安なのである。

 不安なのは「良い子」ばかりではない。悪いことをしている人も不安である。会社で経理をごまかしてギャンブルに使ってしまった。いつばれるか分からないと心配で不安である。

 学生時代にカンニングをして試験をやり過ごし、なんとか卒業してきたが、会社に入ってからもなんとなく不安である。これとはっきり言えないがどこか自信がない。

 極端に言えば、替え玉を使って入学試験、卒業試験をクリアしてきたような生き方をしてきた人々も不安である。

 実際の自分より自分を良く見せてしまった者はいつも不安である。仮面の奥の「実際の自分」がばれたらどうしようと不安である。
「期待不安」という言葉がある。あることで失敗すると、次に同じような場面でまた失敗するのではないかと不安になることである。

 人前で赤面してしゃべれないということが一度あると、次に人前に出るとき、実際に出る前から、赤面してあがってしゃべれなくなるのではないかと思って不安になる。これが「期待不安」である。

 そういう人は、今を生きられないで、先を予測しすぎて不安になっている。

 今書いてきたこれらの不安は、主として自分の価値が脅かされるときに感じる不安である。

 それ以外にも私たちは将来への不安、見捨てられる不安、未知への不安に怯える。

 日本人はよく人見知りをすると言われる。あるいは外面(そとづら)が良いといわれる。この人見知りも、外面の良さも、見知らぬ者への恐怖と不安である。その不安や恐怖から自分を犠牲にして迎合する。

 自分の価値が脅かされる不安であれ、未知への不安であれ、自分の存在が脅かされる不安であれ、人はあれやこれやで毎日が不安である。何があっても全く平気だという人はいない。

 人はそうした不安で消耗し、人生に喜びを感じなくなる。人は毎日の不安で少しずつ消耗していく。そしてやがては、肉体的に疲れていても心理的には不安だから夜は眠れなくなる。

 最後にはうつになったり、無気力になったり、(から)に閉じこもって人を(うら)んだり、反社会的行動に走ったりする。

 こうして自分のたった一度の人生を挫折させていく。

 この本では、なぜ私たちがこのような不安を抱くことになるのかという原因を考え、この不安にどう対処したらいいかを考えた。

 この本は人生の危機管理の本である。
「人間は、危機状況に遭遇(そうぐう)したときの処理能力の点で、大いに異なっている[註1]

 そしてそれは「厳密にいえば心理的問題である」という。

 だからその処理能力を高める努力は生きていく上で大切である。それを考えたのがこの本である。

[註1]Rollo May, The Meaning of Anxiety,『不安の人間学』、ロロ・メイ著、小野泰博訳、誠信書房、一九六三年、四一頁
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