信用取引には、制度信用取引と一般信用取引の2種類がある
◆それぞれの特徴を知り、自分に合った取引を選ぶ
信用取引には、制度信用取引と一般信用取引があります。
一般という名前がついているため、一般信用取引の方がメジャーな取引と思われるかもしれませんが、実は制度信用取引の方が古くからあり、取引されている量も多くなっています。したがって、普通、信用取引というと、この制度信用取引を指します。
制度信用取引は取引所がルールを定める信用取引です。最大の特徴は、買いでも売りでも、6ヵ月以内に決済をしなければならない取引だということです。一方、一般信用取引は証券会社が個別にルールを定める信用取引で、原則として決済の期限に制限がありません。
制度信用取引は、取引所が定めた銘柄に対して信用取引ができるのに対して、一般信用取引は、取引所が制度信用取引に定めていなくても、証券会社が定めていれば、信用取引ができます。
制度信用取引と一般信用取引のもっともわかりやすい違いの例は、新規上場(IPO)銘柄の買い(→【4‐15】)です。制度信用取引は、取引所に上場した初日はまだその新規上場銘柄を選定していないため、利用できません。ところが、一般信用取引で証券会社がその新規上場銘柄を選定していれば、初日から信用取引の買いを利用することができるのです。
最近のIPO銘柄の人気はこうした一般信用取引の買いが初値を高くすると同時に、その後の株価が堅調になりやすいからかもしれません。
ただし、一般信用取引には、デメリットもあります。それは、返済期限が長い分、投資家に長い期間お金を貸すことになるため、制度信用取引より金利が若干高くなっていることです。
また、一般信用取引では売りができないことが多く、リスクヘッジに活用できないこともあります。理由としては、一般信用取引の買いの場合、資金は証券会社が融通して投資家に貸すことができますが、売りの場合の貸し出す株券を融通できないことが多いためです。
一方、制度信用取引では、株の購入資金を貸したり、株券を貸したりすることを仕事にしている証券金融会社が貸し出すことになっているため、融通することが容易で、売りからの取引が可能になっているのです。
このように、それぞれ特徴がありますので、信用取引をする際は、それらを理解したうえで、自分の目的にあった方を選ぶことが重要です。