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2025年東京不動産大暴落
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経済・金融
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第六章 暴落を避けるために

『2025年東京不動産大暴落』
[著]榊淳司 [発行]イースト・プレス


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日本人は異様な「新築好き」民族


 まず、この国では、年によって多少の変動はあるが、ここ数年一〇〇万戸前後の住宅を新築している。この数字は、一戸建てはもちろん、分譲と賃貸のマンションや賃貸用の木造アパートも含んだ数だ。


 前にも書いたとおり、この国ではすでに人口が減り始めているが、世帯数自体はいまも増え続けている。前述のとおり、世帯数イコール住宅需要と考えることができる。だから、多少は住宅を増やしても、それを吸収する需要はあるのだ。


 しかし、統計数字の上だけで判断すると、全国の空き家率は一三・五%もあるので、一年間に一戸も住宅を新築しなくても、需要を賄うことはできるはずだ。


 そして、この国の世帯数が増え続けるのは、二〇二〇年までだと予測されている。その後は、いよいよ世帯数さえ減り始めるのだ。そうなったときに、現状の「年間一〇〇万戸前後の新築住宅」は必要なのか?


 そもそも、日本人はなぜにこれほど新築住宅をつくりたがるのか?


 図表10のグラフは「滅失住宅の平均築後経過年数の国際比較」というもので、国土交通省の推計値だ。平たくいうと、取り壊される住宅が、建築されてから何年経っていたか、という年数の国際比較である。日本は三〇年であるのに対して、アメリカは五五年、イギリスは七七年だ。




 この比較が行われたのは十数年前だが、基本的な構造はいまも変わらないはずだ。


 日本の住宅というものは、木造一戸建てや鉄筋コンクリートのマンションも含めて、平均で三〇年ほど経過すると壊されている、ということを表している。


 なぜ、日本の住宅は、かくも早くに取り壊され、建て直されるのだろう。


 さまざまなことが考えられる。


 かつて、ヨーロッパ人が日本の住宅のことを「紙と木でできている」と表現したそうだ。間違ってはいない。より正確な言い方をすると「紙と木と土でできている」。これが伝統的な日本の家屋だ。


 ヨーロッパの都市部では、石やレンガでできた住宅が多い。イタリアのローマでは、二〇〇〇年前の石造りの集合住宅に、いまも人が住んでいるという。


 なぜ、日本には石造やレンガ造りの丈夫な住宅が生まれなかったのだろう。その原因は、気候と地震にあるといわれている。


 鎌倉時代、(よし)()(けん)(こう)(つれ)(づれ)(ぐさ)に「家の作りやうは、夏をむねとすべし。冬はいかなる所にも住まる。暑きころわろき住居は、堪へ難き事なり」と記している。そのころから、日本人にとって、住まいづくりは「夏向き」が基本だったのだ。冬の寒さには、ひたすら耐えるしかなかった。


 地震や火事の影響も大きいと考えられる。


 石やレンガで家をつくると、地震で倒壊する可能性が高い。石やレンガは、一つひとつを接着させながら積み上げるのが基本である。しかし、接着面が弱いため、地震では崩れやすい。だから、地震の多い日本にはなじまないのだ。

「紙と木でできた家」は火事にも弱い。あっというまに燃えてしまう。たとえば、江戸の街は、何回も大火で多くの家を焼失している。そのたびに、また新たに建て直すのだ。江戸の人から考えると「いつか火事に焼かれる」住まいなら、お金をかけて丈夫につくるより、(やす)()(しん)でもよかろう、ということになる。安普請だと二〇年ほどで老朽化するので、「そろそろ建て直すか」ということにもなる。


「新築信仰」が引き起こす「供給過多」


 欧米人は、日本人ほど新築好きではない。それには統計的な裏づけもある。


 日本で売買される住宅は新築が主流だが、アメリカやイギリス、フランスでは中古が基本だ。イギリスでは、売買される住宅の約八五%が中古である。アメリカでは約九〇%だ。この傾向は、ほかのヨーロッパ諸国でも同じはずだ。欧米では、若い夫婦が購入する住宅のほとんどが中古である。




 欧米で暮らした人が、よくこう言っているのを耳にする。「日本人は新しいことがいいことだと思うが、欧米人は古いことを好む」。東京の港区あたりの古い日本家屋を買うなり借りるなりして、自分たちの好きなように手を加えながら、とても個性的な家に暮らしている欧米人がいたりする。それが彼らにとっての「素敵な住まい」なのであろう。


 それに比べて多くの日本人は、新築マンションの販売用につくられるモデルルームのように、何もかもがピカピカの新品である住まいを理想としているように思える。


 つまり、日本人は、異常なほど新築好きなのだ。


 私は、日本人が「新築好き」である原因のひとつに「宗教」があるのではないかと考えている。たとえば、()()神宮では二〇年に一度「(せん)(ぐう)」が行われる。本殿や別宮、宇治橋などを壊して建て替えてしまうのだ。あの立派な本殿をたった二〇年で壊してしまうとは、欧米人には理解できないだろう。

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