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ルポ・エッセイ
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秘密は二人だけで共有できている間は妖(あや)しい宝石のように輝いているものだ。

『はじめに言葉ありき おわりに言葉ありき』
[著]島地勝彦 [発行]二見書房


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 いま日本中、国をあげて不倫(ふりん)の時代に突入しているといえる。社内不倫をはじめ、ありとあらゆるところで、男と女はまぐわっている。平和でよき時代なのだろう。不倫にも美しい不倫と見苦しい不倫がある。切なく逢瀬(おうせ)を繰り返す(いと)しい不倫もあれば、(あぶら)ぎった腹の出た中年のオッサンと、これまた脂ぎった腹のふくらんだ中年のオバサンがプロレス並みの肉弾相打つ定期試合みたいなセックスを(たの)しむ不倫もある。

 だが、どちらも二人だけの秘密である限り、妖しく美しい匂いを立てながら燃えるアラジンのランプのように、不倫は神話の世界のなかにいられるのだ。いわゆる秘密を二人で墓場までもっていけるかどうかなのだ。これは人生においてお金では絶対に買えない高価で貴重な愛の密会なのである。

 現実の不倫は、手練(てだ)れの作家が書いた不倫小説よりはるかにスリリングではるかに面白く気持ちがいい。なにせ格好がよかろうと悪かろうと、主人公は自分なのだからである。ところが知り合いや近所や世間や会社に秘密がばれた瞬間、不倫は妖しい美しさを失い、薄汚れたスキャンダラスなものになってしまう。だから美しく燃えるような不倫をするには、男も女も墓場まで秘密をもっていける地頭(じあたま)がいい信念の人を相手に選ぶべきである。幸いわたしの職業はプレイボーイだった。おっとまちがえた。雑誌「週刊プレイボーイ」の編集者だった。不倫の相手はわたしの目にはいつもフルボディで見目麗(みめうるわ)しく心やさしい人を選び、ときには蟷螂(とうろう)(おの)で終わったこともあったが、ときにはわたしの情熱が受理された。そしてわたしはあえて友だちや部下や先輩に紹介した。

 これをわたしは“明るい公私混同”と呼んでいた。それでも墓までもっていく宝石のように妖しく光る秘密はいくつかある。いまでもわたしはその素敵な共犯者たちに感謝している。
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