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年収220万円の32歳(男)が1000万円貯めた方法
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年収920万円なのに自己破産!? 高年収も貧乏脳で台無しに……!

『年収220万円の32歳(男)が1000万円貯めた方法』
[著]Sancho [発行]インプレス


読了目安時間:13分
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 世間一般で年収920万円といえば、間違いなく高年収の部類です。年収1000万円という大台の目前で、このまま順調にいけば、遠からず大台突破も見えてくるはず。まさに、輝ける将来に向かって突き進む成功者のイメージそのものです。


 しかし、ちゃんと成功できるのは、年収増加と同時に金持ち脳へと成長した人だけです。貧乏脳のままでは、いくら年収が増えても大金持ちになることはできません。実際、プロ野球選手などにも、一時期は年俸2億円くらいの高給取りになったのに、引退する頃に財産があまり残っていない人がいますよね? これはまさに、物質的には大金持ちになっても、精神的には金持ち脳になれなかった例です。宝くじが当たって、逆に不幸になった人にも同じことが言えるでしょう。


 とはいえ、プロ野球選手、高額当選者のような雲の上の話をしても、やっぱり自分には関係ない話にしか聞こえません。ここで年収920万円のサラリーマンを例として持ち出したのは、貧乏脳による転落がごく普通のサラリーマンにも起こる……という事実を他人事ではなく、自分にも起きる出来事として知って頂きたいからです。


 それでは、順風満帆に見えた年収920万円のKさんがどのような顚末で自己破産したのか、その一部始終を見ていくことにしましょう。




 Kさんが自己破産したのは去年の夏のことです。Kさんは携帯電話コンテンツを開発するIT企業に勤め、それなりにヒット作を生み出してきたやり手のプロデューサーでした。それも、複数の部署で責任者を兼任し、次期役員候補にも名を連ねていた出世街道まっしぐらのエリート社員だったのです。まさか彼が自己破産するなんて、いったい誰が予測できたでしょうか?


 筆者自身、Kさんとは3年ほど前までよく一緒に飲んでいたのですが、その後はまったく連絡がとれなくなり、フェイスブックなどSNSサイトからも姿を消してしまいました。風の噂で「会社をある日突然に無断欠勤し、そのまま消えるように辞めていった」という話を耳にして心配していたのですが、ある日、そんなKさんから久しぶりに連絡があったのです。食事の誘いを頂いた筆者は、旧交を温めようと出かけ、そこでKさんの身に起きた不幸を知ることになりました。


 久々に会ったKさんの浅黒い笑顔には、苦労の痕跡が滲んでいました。よく一緒に飲んでいた数年前まではとても若々しく見えたのですが、今は頬がこけ、白髪が目立つようになり、41歳という年齢以上に老けたようでした。


筆者 自己破産とは……、大変でしたね。何も言わずにいなくなったから、びっくりしましたよ。

K  いや、ごめんね(笑)連絡もなくいなくなって、みんなには悪いと思ったんだけどさ。当時は自分の事で精一杯で、そんな余裕なかったんだよ。ちょっと鬱っぽかったし……。

筆者 いや、とりあえず、今は元気なようで何よりです。

K  まぁ、今はかえってスッキリしたよ。ここ数年は常に“破産の不安と恐怖”に苦しんでいたから。……いや、正確にはもっと前からだね。かなり良い給料はもらってたし、贅沢もしてたけど、いつも金が無かったし、何だかお金そのものが怖かったよね。でも、今はずいぶん気が楽になったし、飲みに行く心の余裕もできた。ある意味、破産して良かったのかもしれない。



 ……なるほど、いろいろと苦労はしたようですが、それは破産するまでの話で、破産してからはむしろ不安から解放されたとのことです。


 周りから見ると優雅で余裕があるように見える高収入の家計。しかし裏を覗いてみれば完全なる火の車……。そんなふうに、高収入でも家計の厳しい家庭は意外と多いと聞きます。しかし、バリバリのエリート街道を走っていたKさんが、どのように自己破産へと至ったのでしょうか?


筆者 Kさんは当時、ITベンチャーに勤めて、ヒットコンテンツを世に送り出す名プロデューサーでしたよね? 年収、相当高かったんじゃないですか?

K  あの頃の年収は920万くらいだったね、年俸分だけで。同じ役職の連中と比べても飛び抜けて良かったんじゃないかな? 手取りで月々60万円くらいもらってたはず。

筆者 手取りで60万円ですか!? うらやましい限りだなぁ……。

K  いやいや、それでも本当に金が無かったんだよ。いくら稼いでも生活が苦しかった。……まぁ、見栄を張っていたんだよね、あらゆるもの全てに。それが行き詰まった根本原因だよ。

筆者 実際、かなり豪勢でしたよね。腕時計も僕が知ってるだけで10個は持ってたんじゃないですか? ロレックスとか、オメガとか……。飲みに行っても絶対にキャバおごってくれましたよね、あの六本木ミッドタウン近くの(笑)

K  そうねぇ、あの頃は忙しいくせに週2は豪遊してたよね。靴やバッグもばんばん買って、車もBMWの5シリーズに乗って、芝浦アイランドに住んで……。でもその頃は当然だと思ってたんだよ。仕事相手や周りの人たちはみんな成功者だったし、舐められちゃいけねぇ……みたいな。だから、いつも無理して生活レベルを上げてたよね。借金しても働いて取り返せば良いって、根拠のない楽観論で不安をごまかしていたんだと思う。

筆者 今で言うところのネオヒルズ族みたいですね(笑)

K  まぁ、一過性の遊びはともかく、一番キツかったのは、実は子供たちの教育費だね。時計とか服とか車とかは、会社の景気がまだ良い時にはガツンと決算ボーナスが出てたから、それで賄えちゃうんだよ。なんかあったら売ればいいし。でも子供の学費とか学習塾の月謝って、毎月かかるものじゃない? 子供の将来のために必要なのはもちろんだけど、同級生の親たちや近所の目もあるし、それなりに良い学校に行かせなきゃ恥ずかしい。そのための塾なんかもべらぼうに高い。そして、そういうのは経済的に苦しくなっても途中でやめるわけにはいかないんだよね……。

筆者 確か、Kさんには子どもが2人いましたよね? 2人とも私立に通わせようとしたら、結構な出費なんじゃないですか? やっぱ自己破産の原因は、教育費とかマンションのローンとか、その辺なんですか?

K  あんたもズバズバ聞くねぇ……そんな過去の触れられたくない話をさ。確かに根本原因は教育費とかローンとかなんだけどさ。でも、直接の引き金は実はオレの借金なんだよ。

筆者 え、借金?

K  実は、株式投資とかにハマってね……。はじめは知り合いに勧められて、少額の取引をしてたんだけど、最終的には数百万円はつぎ込むようになったんだよ。3、4年前かなぁ? 当時ちょうど相場の負けがこんで、なんとかFXで取り返そうと無理して張ったら、有り金を全部溶かしちゃった(笑)……そんなこんなで結局800万円くらい借金作っちゃって。

筆者 は、800万円!? ……でも貯金はあったんじゃないんですか?

K  いや、ないない。本当にゼロだったもん。

筆者 いやいや、少ないにしても、ゼロってことはないでしょう?

K  それが本当に(笑)……ちょうどその頃、マンション買ったり、子供の私立中学の入学金やらで貯蓄はなくなってたよ。まぁ、貯金なんていつでもできると思ってたし。毎月の収支も、良くてプラマイゼロ。下手するとマイナスの時のほうが多かったんじゃないかな? 妻によく嫌味言われてたなぁ、……こんなんじゃ破産するって。とうとう、現実になっちゃったけどね。



 なんと、Kさんは年収920万円を稼いでいても貯金がなかったのです。しかも、800万円という巨額の借金……。確かに、これでは破産するのも時間の問題だったことでしょう。誰もがうらやむ高年収でも、それ以上に支出が多かったわけです。世間体や周囲の目が気になり、生活レベルを落とせなかったことが、最終的にはトドメの一撃となったと思われます。


 ところで、Kさん宅では、月々の家計収支はどうなっていたのでしょうか? 同じ轍を踏まないためには、その部分を具体的に分析しないと始まりません。そこで、ある月のKさん宅における収支をまとめることにしました。次の表をご覧ください。ちなみに、分かりやすくするため、支出が収入全体のうちどれくらいを占めているかのパーセンテージは小数点以下を四捨五入しています。


《Kさんの月々の収支まとめ》

【収入】

月収 手取り   60万円


【支出】

住宅ローン   17万2000円(29%)

駐車場     3万円(5%)

車ローン    2万4000円(4%)

ガソリン・修理 1万円(2%)

食費      7万8000円(13%)

水道光熱費   1万8000円(3%)

通信費     2万3000円(4%)

夫 保険     8000円(1%)

妻 保険     1万2000円(2%)

学資保険    2万4000円(4%)

夫 小遣い    6万円(10%)

夫 趣味     4万5000円(8%)

妻 小遣い    4万円(7%)

長男 教育費   3万8000円(6%)

長女 教育費   2万6000円(4%)

雑費・その他  1万5000円(3%)

貯金      0円(0%)


【差引】

収支      -2万3000円



 なんと、手取り60万円でも、収支はマイナスでした……。ボーナスの出る月などは楽になるはずですが、浪費癖がついていると、ついついボーナス一括払いの買い物をしてしまったりして、結局、ボーナスが出ても貯蓄は増えないのが常です。そう考えると、やはり全体として収支のバランスには問題があったのでしょう。


 それでは、項目ごとの問題点を洗い出し、どのように調整すれば自己破産を避けられたのか考えてみましょう。


《住宅費》


 Kさん宅は手取りの29%を住宅費が占めています。しかし、適正な住宅費の比率は手取りの2025%と言われています。Kさん宅はこれに比べやや高い比率になっていますね。高収入と言われている人ほど、ちょっと無理をしてワンクラス上のエリアに住んだり、住宅のグレードを上げてしまいがちですが、住居費は人生に使うお金の中でも1、2を争う大規模な支出になります。生活に与える影響も大きいので、しっかり検討した上で住宅を選ぶようにしたいですね。


 Kさん宅では住宅ローンの借り換えや繰り上げ返済などであと数%、比率を減らすことができれば、理想の比率に近づけることができたはずです。


《車両費》


 車のローン、駐車場代、ガソリン代、修理代などの車に関する支出合計を見てみます。すると、Kさん宅は車ローン返済も含め、なんと月に6万4000円——手取りの10%以上も車にお金を使っています。これは大きな負担ですね。この他にも車検、修理や整備、重量税などが乗っかってくることになります。


 正直なところ、車というのは食費や住居費と違い“生きていくのに必要な支出”ではありません。「車がないと生活ができない!」なんていう地方でもない限り、家計が危ういと感じたら車を手放すという決断も必要だと思います。


《食費》


 Kさん宅の食費は約8万円、収入の13%を占めています。食費の適正な比率は手取りの15%以下と言われていますので、一見するとセーフですね。


 しかし、年収900万円オーバーの家庭で食費が13%というのはどう考えてもエンゲル係数が高すぎます。エンゲル係数というのは所得に対する食費の比率を意味しますが、普通、所得水準が向上するにしたがって係数は小さくなる傾向があります。年収900万円であれば10%以下に抑えるべきでしょう。


《お小遣い》


 適正なお小遣いの比率は手取りの10%以下と言われています。Kさん宅のお小遣いは夫婦合わせて17%……。いくら得意先との交際費が含まれているとはいえ、さすがに17%は使い過ぎです。


《教育費》


 子育てに対する考え方や価値観にもよりますが、一般的に適正な教育費の比率は手取りの5~10%だとされています。Kさん宅の場合はこの範囲に入っていると考えて良いでしょう。


 ただし、Kさん自身も言っていたように、教育費は生活が苦しくなったからと言って、途中で「じゃあこれは削ろう!」というわけにはいきません。子供の教育費を安心して確保するためには、事前に十分な貯蓄を蓄えておく計画性が必須。普段から他の支出を節約して余裕をもった家計を心がけておく必要があるのです。


《趣味・娯楽費》


 適正な趣味・娯楽費の比率は手取りの2~3%です。ところがKさんは8%……。適正値の3~4倍も使っています。しかも、Kさんは株式投資、FXといった趣味で下手をうって800万円もの借金を作ってしまいました。どう考えても、これがKさんの破滅の大きな要因ですね。


 相場・投資とはあくまでも最低限の貯蓄・生活費が担保された上で行うべき資産運用手段です。家計を圧迫することのないよう、余剰資金の範囲内で行うようにしましょう。



 Kさんの家庭に限らず、高収入であっても貯蓄が常に100万円以下、もしくはほぼ0円という家庭は驚くほど多いようです。それどころか、毎月の家計が苦しく破産の恐怖に怯えている家庭も珍しくありません。では、なぜ高収入の家庭は破滅してしまうのでしょうか?


 その原因は生活スタイルにあります。もっと厳密に言えば、計画性がなく、使うことばかり考える貧乏脳こそ、破滅の元凶です。家賃や物件価格の高い人気エリアに住んだり、維持費の高い高級車に乗ったり、洋服やバッグ・アクセサリーなどもすべて海外のメガメゾンで揃えたり、食材や毎日の食事・外食にも必要以上の高品質を求めたり、年会費が高いだけで実利の少ないゴールドカードを所有したり……。ステータスや世間からの評価を重要視し、自分を取り巻くすべてのものに“特別でハイクラスなもの”を求めてしまうわけです。そうして、いつも“ワンランク上”を意識した結果、総合的なランクが身の丈に合わない超ハイクラスになってしまい、支出超過に陥るわけです。このような傾向は年収700万円を超えたあたりから、徐々に増えてくるという調査結果もあります。


 こうして、結果的に、食費・住宅費・被服費・交際費・娯楽費……などすべての家計項目がまんべんなく支出過多となり、結果的にまったくお金が貯まらなくなってしまうのです。


 また、高収入の方が多く住むエリアでは、周囲の家庭の生活レベルが高いことにも要注意です。ご近所のレベルに合わせようとして、ついつい見栄を張って高価なものを買ってしまいがち。ちょっと家計が厳しいと感じていても、周りの目が気になり簡単には生活レベルを落とすことができないのです。こういう場合、一家の主人だけではなく普段から自宅を中心に行動することの多い奥さんも無意識のうちに浪費が増えてしまう傾向があります。


 本人たちは極端な浪費をしていないつもりでも、全体的にまんべんなくお金がかかってしまっていることが“高収入でも貧乏脳”の家計の特徴なのです。むしろ、収入が増えれば増えるほど、計画性を重視し、無駄を省くことを考えなくては、お金持ちになどなれません。



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