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生き方・教養
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はじめに

『かすいのできんぼーず』
[著]鈴木隆三 [発行]すばる舎


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 叢林安(そうりんあん)()――。叢林とは、大・小・太・細さまざまな樹木が密生している雑木林のことですが、年代経歴を問わず十人十色の雲水(安居僧)たちがあちこちから集まってきて共同で修行生活を送る「僧堂(禅林)」にもたとえられる言葉です。また、安居とは()安居(あんご)()安居とも)の略称で、本来は古来インドにおける仏道修行者が特に雨の多い(夏の)三ヵ月間は、知らないうちに虫などを殺生してしまうことがないよう説教行脚(あんぎゃ)には出ず、叢林にとどまって修行に専念したことから、修行生活そのものを意味するようになった言葉と言えます。


 私が、日本におけるその叢林の一つ、曹洞宗の()睡齋(すいさい)専門僧堂に上山したのは還暦を過ぎて二年ほど後の平成二十二年のことでした。

 それまでの一般社会(シャバ)の生活とは、百八十度も三百六十度も異なる暮らしを強いられることになった僧堂での修行生活。現代では、宗門関係者でしか知り得ないその実態を、できるだけわかりやすく、また楽しく?、ときには哀愁を漂わせながらご紹介していこうと書き上げたのが、本書です。

 仏法のことなどほとんど何にも知らなかったに等しい〈パンピー〉で、しかも〈前期高齢者〉という立場にあった筆者が、若い修行僧たちに交じってひたすらに仏道を行じていこうとする、その涙ぐましい努力の数々をぜひライブ感覚で感じ取っていただけたらと思います。


 上山してから修行生活に一応の区切りをつけるまで、二年半というわずかな期間ではありましたが、その間、いろいろな行持(ぎょうじ)(修行の「行」・護持の「持」)に(いそ)しみ、おぼろげながら作法を身に付けたことに加え、実社会では決して気づけない、さまざまな事柄にも数多く遭遇することができました。


 現代社会は、ややもすると何かにつけ「プロ」か「アマ」か、あるいは「白」か「黒」か、「富」か「貧」か、「賢」か「愚」か、というように二つの選択肢しか持たない〈二極分化の傾向〉が強いように思われます。しかし、たとえばある分野において〈一足飛び〉にプロになることなどはできず、「一人前」となるためには、アマからプロへと至るしかるべきプロセスを経て、次第に素養が形成されていくのではないでしょうか。


 仏道修行という面からもそれは言うことができ、究極は「お釈迦様や歴代伝灯佛祖、道元禅師や瑩山禅師方が体得された『悟り』と言われる状況(実はこの境地へは〈一足飛び〉に至れるとの見方もあり)」へと到達することですが、一般(シャバ)的に見ればそこへと至る段階は無数にあるわけで、いわばアマ(人)からプロ(仏)への〈発展途上〉という状況もあるように思うのです。それは、「一般常識では考えられない『仏道の真理』というものが確かにある」ということにまず気づける(とにかく心底納得できる)段階、そこに気づくか気づかないかでは、〈北へ向かうべき船を、南へ向かって漕ぐ〉ほどの違いが出てきます。


 この〈発展途上〉という視点は、高度成長経済時代と言われた昭和三十年代後半を経て、四十年代から五十年代にかけて、私たち団塊の世代が果たしてきた「中間管理職」にダブルところもあるのではないでしょうか。もちろん〈ダメ中間管理職〉の弊害もあったことは否めませんが、少なくともプロセスの中での「橋渡し役」が必要であったことは、「文化・文明・技能・技術・経済等の継承」という面から見れば、歴史的に言っても間違いないことかと思います。


 いろいろな事柄について、これまでと少し方向を変えて見てみると、それまで見えなかったものが見えてくる。それこそが「一つの気づき」になるのだと言えましょう。そんな観点から、〈発展途上の私〉が僧堂での二年半の間に気づいたさまざまな事柄についても、折にふれご紹介していきたいと思っています。

 どうぞ、読者の皆様には最後までお気軽に〈誌上での僧堂生活〉を追体験していただければと存じます。

可睡齋専門僧堂堂行 曹洞宗千光寺住職 りゅうじい こと (すず)()隆三(りゅうざん)


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