『笑う仕事術』
[著]菅賢治
[発行]ワニブックス
ボクがツッチーに──先程も出てきた『電波少年』のプロデューサー・T部長こと土屋敏男に、初めて「ダウンタウンって知ってる?」って言われたのが27~28年前。その時に初めてふたりの漫才を生で見て、「何これ? すごいね、このふたり!」と素直に思いました。だから、初めてダウンタウンに触れたのは漫才なんですよね。ボクはお笑いが大好きでしたから漫才もたくさん見てきましたけど、このふたりのすごさには本当に驚かされました。
浜ちゃんこと浜田雅功という人は、松本人志がボケる発想を、ボクら一般人にもわかるように翻訳してくれる天才です。
生でダウンタウンの漫才を聞いていると、松ちゃんのレベルの高すぎるボケに一瞬「ん?」となることもあるんです。でもそういう時、間髪入れずに浜ちゃんが的確にツッコむことで、「あ、そういうことか!」と理解できる。反射的に、よくぞ瞬時にツッコめるなぁと本当に感心します。
何をやってもOKということですから、あれはボケる立場としては楽しいと思います。ピッチャーがカーブを投げようとフォークを投げようと、あるいは暴投したって確実に受け取ってくれるキャッチャーがいるということですから。
ボクらも浜ちゃんを見ていると、「ツッコんでくれるだろうな……」と思うそのまえに、瞬時にバッとツッコみますから、その爽快感に魅せられる。
だから、ボクら裏方のスタッフ、ヘイポー(斉藤敏豪)や中村(喜伸)、大沼(朗裕)が『ガキの使い』にちょこちょこ引っ張り出されて何かをやるというのも、結局、あの人たちがツッコんでくれるから成り立つわけです。
「ダウンタウンのふたりが絶対に笑いにしてくる」という保険がかかっているからできるわけで、「じゃあ、オマエひとりで何かやれよ」と言われても、ボクらだけでは絶対に成立するわけがありません。
ボクやヘイポーなんて、単体で見たらこれっぽっちも面白くありません。ダウンタウンがいるから面白くなるのです。
そこが「楽屋オチ」「内輪ウケ」とは全然違うところです。