『笑う仕事術』
[著]菅賢治
[発行]ワニブックス
テレビ番組を作る時、ボクは「曜日の生理」というものを意識します。月曜日の生理と金曜日の生理ってまったく違いますから。
月曜日ってけっこうブルーでしょ。「うわ、また始まったよ」って。逆に金曜日は「今日でおしまい、パァーッと行こう!」ってハイになりがちです。
そういう観点で言えば、実は『ガキの使い』って特殊なんですね。日曜日の夜というのは静かに終わりたいものなのに、あれだけドンチャン騒ぎして(笑)。だけど、「いや、あれがあるから明日も頑張ろうって気になるんだよね」って言ってくれる視聴者もいっぱいいます。今までの番組で考えると、テレビのセオリーに完全に反しているんですけどね。とはいえ、そうしたセオリーにとらわれて、日曜の夜だからって何もシュンとして終わる必要もないだろうと思い直しています。
月曜日というのはテンションは高くはありませんが、とはいえ下がっていても嫌なもの。逆に金曜日はテンション高いですよね。でも、それでテンションが高い番組をぶつけると、意外にもこれが当たりません。不思議なものですよね。
金曜日の番組は、何よりも楽しくなければダメです。明るく楽しくするためには、演者の腕が必要。だから、金曜日にゴールデンを張れる演者というのは、これはやっぱり相当な“手だれ”でないと通用しません。土・日のゴールデンも同様です。
明るくて楽しくなければいけないけれども、跳ね過ぎてもいけない。そこを押さえないで番組を作ったら成功はありません。
こうしたことを言えるのも、数々の失敗があったからです。ボクがこの本の中で偉そうなことを書いていたとしても、すべては失敗から学んできたといっても過言ではありません。だから、もしテレビ番組で当てる方法を知ってるなんてヤツがいたら、そいつはウソつきです。それは誰にもわかるはずがありません。
ただし、長年、プロデューサーや演出家をやってきていれば、それなりの失敗の経験則、つまり「これをやるとダメだよ」という失敗の蓄積、集合体があるので、そうならないように番組を作るだけ。あとは、本当に運によるところが大きいですね。だからボクはバクチを一切やりません。バクチで運を使ってしまうのが嫌だからです。