『子どもを救う・守る・死なせない☆必須教科書 『いじめ』は2学期からひどくなる!』
[著]佳川奈未
[発行]ゴマブックス
「大切」なあとがき
“人は誰も、幸せに生きる権利を奪われてはならない”
~本当の強さとは、自分より弱いものをいたわる心を持つこと
この本は、2012年8月に単行本として、緊急出版されたものです。当時流れていた悲惨ないじめのニュースから月日も経ちました。が、「いじめ」はいまだなくならず、またもや、自殺に追いやられた少女のニュースが報じられ、胸がえぐられる思いがしています。
一体いつになったら、いじめはなくなるのか!
いや、なくなるどころか、実態はますますひどくなる一方で……。
そこで、私は、いじめの早期発見と解決に向けて、本書の内容を、再度、世に出すべく、ゴマブックスさんのお力をお借りすることにしました。ゴマブックスさんは、すぐに本の内容に共鳴してくださり、「ぜひ、2学期が始まる前に、出しましょう!」と動いてくださり、今回、こうして電子書籍になったというわけです。
この本は、幼稚園、小学校、中学校、高校、塾であっても、とにかく、先生という職業についている方全員に読んでもらいたいと願ってやみません。そして、学校に通う子どもを持つお父さん、お母さんにも、是非。
最初にこの本が単行本として発売になった当時、“かつて自分もいじめにあっていた”という多くの方々から驚くほどの反響がありました。届いたお手紙やメールには、「よくぞ、この本を書いてくれた!!」「こういう本を待ち望んでいた!!」「自分の無念さをこの本が晴らしてくれました。ありがとう」という感謝の言葉と、誰にも言えずひとりで苦しんできたその赤裸々な内容がありました。
また、「うちの孫がいじめられていました。この本を読むまで家族は誰も気づけませんでしたが、たまたまこの本を買って読んだところ、無言のサインにあてはまることが多々あり、家族で子どもをそっといたわって話を聞いてみたところ、いじめの真実がわかったのです。そのおかげで、早急に学校と連携し、いじめから孫を救い出せました。本当にありがとうございました」というお手紙も。そういうときは、ほんとうに、この本を書いてよかったと思えたものです。
本の発売後は、「学校の先生をたくさん集めて、いじめの講演会をしてほしい」という要望もあり、実際にそういった講演会も何度かしました。
各社テレビ局からも多くの取材を受け、ラジオの生放送にも出演しました。その甲斐あってか、大切なことに気づいた学校の先生たちから、「ぜひ、この本をうちの学校のいじめマニュアルとして活用させてほしい!」「この本の大切なページをプリントして、クラスに配って、共有したい!」という連絡なども、学校関係者たちからひっきりなしに出版社に入ってきたものです。そういった流れで、本書は、多くの学校のいじめマニュアル本として活用されています。
そうやって、少しでも、いじめを解決するために動こうとしている人たちに出逢うと、本当に世の中まだ捨てたものではないなぁと思え、大きな希望に満ちるものです。
とはいうものの、どんなにこういったことで活動しかけても、ほとぼりが冷めるとまたマスコミや社会は、学校は、家庭は、いじめの問題やテーマから意識が薄れるものです。
それゆえ、私が強く伝えたいのは、テレビやラジオや雑誌がいじめの問題を取り扱おうが取り扱うまいが、そんなことに関係なく、いじめはつねにあると思って子どもたちをよくみていてほしいということです。
人が死んでから動くのではなく、死なせないために動いてほしいということです。
いじめられていい子など、この世にひとりもいません。殺されていい人や自殺に追いやられていい人なども、この世にひとりもいません。その、大前提を決して忘れてはいけないのです。
人は誰も、幸せになる権利や、ふつうに生きる権利を、失ったり、奪われたりしてはいけないのです。
誰もが幸せでなくてはなりません。幸せに生きることこそ、人間の義務だからです!
もしも、誰もが幸せならば、誰もが心豊かならば、誰もが優しければ、そして、誰もが、自分がされたらいやなことは他人にもしない、自分のことと同じように人の命も大事であるということを、深く感じていたならば、この世の中には、残酷なことなど起こらなくなることでしょう。
なにをおいても、子どもを通わせる学校というところは、安心できる環境と、安全であるという保証と、未来への希望がひろがる場所であってほしいものです。
また、家庭は、あたたかく包み込まれ、心やすらぎ安堵できる、どこよりも守られる場所であってほしいものです。
本書の大切なメッセージは、きっと、必要な人のもとに届く! と信じています。どうか、学校へ通う子どもを持つお父さん、お母さん、そして、学校の先生、なにかを感じとっていただけるなら……。
最後に、この難しい問題に心を向け、こうして本を手にとってくださった読者のみなさん、ありがとうございます。大切なあなたの時間を本書に注いでくださったこと、心より感謝いたします。
そして、この本を、突然の申し出にもかかわらず、「すぐに出しましょう!」と、電子書籍化すべく動いてくださった、ゴマブックスの皆さん、ありがとうございます。
著者 佳川 奈未