●ウソ、ウソ、ウソのウソだらけの世界
「われわれはみんな一緒だ」と集団意識をもりあげながらも、それは実は、ある子供の健康な利己主義を封じ、自分達の利己主義を通すためのものである。「お国のため」が、ある一定の人々の利益のためのように、「家族のため」も家族の中の強い立場の者のためである。しかも、ここで大切なことは、自分の利己主義を通すためにもち出してきた「家族のため」を、その利己主義者が信じているということである。
要するに、ウソ、ウソ、ウソのウソだらけの世界で彼らは育ってきている。利己主義者自身が自分は利己主義であるという感じ方を抑圧し、自分は家族のために何かをやっていると思っている。そして子供に、自分をそのように見ることを強制している。