『魏志』の「倭人伝」によると、「丹朱を以て其の身に塗る。中国の粉を用うるが如し」とある。『日本書紀』の神代下に「是に、兄、著犢鼻して、赭を以て掌に塗り、面に塗りて云々」の記述がある。これによると身や顔に赭土を塗るのは南方系の隼人の歌舞の粉飾であり、それは服従のしるしを示したものらしい。赤色は神聖な色で、これを顔面に塗って悪霊の邪眼をさける呪術から出たものらしい。原始古代では赤色は邪霊にとってタブーであったのだ。これがやがて文身となり、人種、身分の表示にも行なわれるようになったのである。三世紀頃では人々は皆、黥面文身を行ない、海人は海中に住む蛟魚怪魔から身を護るために文身を行なったらしい。