一般的な手紙では、冒頭のことばの次にくるのが時候の挨拶である。
日本人ならば、必ず「暖かになりました」「お暑うございます」「大分、涼しくなりました」「ずいぶん寒い日が続きますね」といったことばを交わすのが、きわめて自然に行なわれている。
このように、季節のことばというのは、自分と相手の共同理解の場を生むための結び目の役割を果たし、特に他のことばより強いきずなになりやすいものである。季節のことばの持つ普遍性、日常性、具象性、定着性が重んじられ、他のことば以上の質量感をそこから引き出すことができるからだろう。
手紙の場合も全く同様である。