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男女の性欲と正しいSEX学
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1)男と「セックス」

『男女の性欲と正しいSEX学』
[著]村瀬幸浩 [発行]インプレス


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 1-1、セックスは学ぶもの


 セックスと性はきちんと学び、理解を高めていくべきものです。しかし、特に男は自らの性について学ぶ機会が少ないのが現代の日本社会。


 「性教育」というと、女性の生理(月経)や妊娠から出産に至るまでの過程など、「女の問題」「女の性のしくみについて学ぶ」というイメージがとても強いですよね。現在の性教育、男にとってはまるで他人事といった内容になっています。



 こんな偏った性教育では、妊娠も出産も女性のイベントとして捉えてしまう男ばかりになっても仕方ない。男には、性についてきちんと学ぶ機会が用意されていないのですから…。


 「別に男の性について教える必要などない」という風潮のまま、男は男の性について学習の機会に恵まれてきませんでした。


 しかし、性教育がないからといって、男が性やセックスについて何も知らないままかというと、そうではありません。男たちがどのようにして自らの性を知っていくのか。みなさんの想像の通り、AVやエロ本といった性商材、それと周囲の人からの情報が、男にとっての性教育になっています。



 実はこれがなかなか危ない! いや、かなり危ない!



 AVやエロ本、周囲の人たちからの伝達情報のみでは、理解や認識がゆがんでしまうことが多くあります。なぜならAVやエロ本のセックスハウツーには、科学的な根拠や考察があるわけではなく、制作者の偏見や嗜好が色濃いものだから。いわば「妄想」「ファンタジー」の世界と言ったほうが良いでしょう。



 ところで、ヒト以外の生き物も性行為をします。ヒト以外の生き物はどのように性交(セックス)するのでしょうか。



 まず、性行為をする生き物は2つのグループに分けられます。1つのグループは子孫繁栄の生殖活動のためだけに性行為(交尾)をする生き物。もう1つのグループは子どもをつくる目的以外でも性行為(セックス)をするグループです。



 「子どもをつくる目的」のためだけに性行為をする生き物というのは、特定の交尾時期があったり、メスの排卵が近づくと欲情したりして、まさに「子孫を残すため」の行動としてセックス(交尾)をしています。


 もう一方の、「子どもをつくる目的のため以外」にもセックスをする生き物とは、性行為を快楽、そして支配のための手段としても用います。サル、チンパンジー、ボノボ、など、いわゆる高等動物がそういう生き物です。中でもボノボは賢く、同性同士のマウンティング(交尾)を行うことでも有名です。



 人間はというと、特定の交尾時期を持ち排卵日に欲情するということもなく、子どもをつくるためにしろ、それ以外にしろ、年中いつでもセックスができる(している)、そんな生き物です。



 生殖のため、快楽のため、そして支配のため。セックスは本能というよりも、目的ありきの行動です。こうした動物は、学習して初めて性行為が「できる」ようになるのです。


 その根拠となる事例の一つとして、とある動物園での“発情しているが性行為ができないチンパンジー”の観察記録があります。そのチンパンジーは檻の中でキーキーと啼いて性衝動を抑えられずに暴れます。しかし交尾を目にしたことがなく、交尾できないのです。


 このチンパンジーに交尾を教えたものは映像でした。園長や飼育員がほかのチンパンジーが交尾をしている映像を見せることで教えていったといいます。



 つまり、自然界も動物園の檻の中にいるチンパンジーや動物たちも、ほかのチンパンジーやほかの動物の交尾を見て学んでいたのです。


 幼いチンパンジーの中には、見よう見まねの遊びでマウンティングをしている子もいます。交尾もセックスもオスとメスの「本能」ではなく、「覚えていく」ものだということ。そう、セックスは本能的な行動ではなく、学習して身につけている行為なのです。



 しかし、人間は性行為を密室で行います。特殊な趣味がない限り、人に見せることはしません。


 とすると、人間は、特に男はどうやって性行為を学ぶのでしょうか? AVを教科書にしてセックスを学んでいる…これは大変! ですね。先にも申し上げた通り、AVやエロ本はファンタジーなのですから。



 1-2、男がかかえる“セックス”の悩み


 男にとってセックスとは何か――。何だと思いますか?



 おそらく多くの男たちが“セックスとは、勃起―挿入―射精の行為のこと”と思っていることでしょう。



 この「勃起―挿入―射精」というセックス観に、子どもから大人、おじいちゃんまで多くの男たちが捉われ、人知れず苦しんでいます。これは大問題です。



 “挿れるのがセックス”という認識。何だかんだいっても挿入、そして射精。そこまでいって終わり。それ以外はセックスではないし、男らしくない。それができなければ男としてダメ…。



 これは大人たちが勝手につくり上げてきたセックス文化です。日本の性メディアがそうさせたと言っても過言ではないと思っています。決定的な「刷り込み」です。



 この刷り込みをつくり出してしまったのは、アダルトビデオ(AV)の影響が大きいと言えるでしょう。勃起したペニスを挿れて、激しく突けば、女はそれで悶える。射精したあとは男の腕まくらで女はうっとりとした表情を浮かべている…。え? それだけ――?



 ここで、あらゆる気遣いやコミュニケーション、笑顔などの、心地良いエロスの欠如に気付いてほしいと思います。


 もっともAVにもいろいろあります。最近では女性向けのAVなども制作されており、デートからセックスに至るまでの過程が描かれているものやベッドの中で男女が微笑みあうようなシーンが映されているものなどもあります。ですから、ここでお話しするようなAVはAVのすべてではなく、基本的な特徴であることを承知してください。



 AVの基本的な特徴、多くのAVに映し出されるセックスとは、人間的なコミュニケーションや、触れ合いを削ぎ落とした一方的で過激な性交です。男が「ヌク」ためのワンパターンな過程を映したものが多くなっています。


 だからAVのセックスは「男の妄想」「男のファンタジー」と私は論じています。男たちの中にはこうした映像に慣れ、これが理想のセックスだと思い込んでしまっている人がたくさんいます。一方的で笑顔も触れ合いもないにも関わらず、です。



 ちなみに、どうしてAVの映像に興奮する男が多いかを考えたことはありますか? AVの映像に男が興奮を覚える理由、それは男が女を攻めているからです。


 AVに描かれているのは“支配、被支配の関係”。男が女を虐げている様子であり一種のサディズム。他者を意のままに支配し、虐げるのは気持ちがいいでしょうか? AVにはまさに男女の支配と被支配の構図が映し出されています。



 ちょっと考えてみれば分かることです。例えば、“顔射”という性行為。顔という人格のシンボルに生臭い精液をかけられてパートナーは本当に嬉しいと思いますか?


 排泄物で相手の顔や身体を汚すというのは、相手をいたぶっている証拠ではないでしょうか。射精液を飲ませる行為も同じです。そしてそういう行為をして悦ぶ男がいるということ。排泄物を飲みたがる人間がいないとは言いません。でも一般的に考えて、飲まされて気分が良くなると思いますか?



 被虐、サディズム。AVに描かれているのは、そういうセックスです。



 しかし、映像の中では女が悦んでいます…。そして、それはお金をもらうためにしている演技でしかないというのに、男は勘違いをしてしまうのです。


 AVのセックスで女は悦ぶ、女を悦ばせることができる理想のセックスとして真似ようとしてしまう人がいるのです。「これが理想」と思い込んでしまえば、そこからどんどん間違った方向に教育されていくのは容易いものです。勃起して挿入、そして射精。激しく女を攻め立てる行為こそ男らしく正しいセックスだという勘違いはこうして強固になっていくのです。



 AVを教科書にし、セックスマニュアルにしてきた男たちは「こうすれば女が悦ぶ」と思い込み、勃起と挿入ありきのサディスティックで悲惨で一方的な行為を女にするようになります。


 しかし、実際やってみても女は悦ばない…。そこで初めてAVと現実のギャップに気付き、戸惑いを覚えます。さらに、勃起・挿入できないときには死ぬほど焦ることだってあるし、早漏は恥ずかしいと感じる…。このように勝手に理想と思い込んだセックスと現実の差に頭を悩ませる男はめずらしくありません。



 AVのようにできなくて焦りを感じ、AVのように女が悦ばないと不安や不満を感じる。そこから女に対して不信を抱き、怒りやコンプレックスを感じるようになります。セックスによる男女の矛盾“ディスコミュニケーション”はこうして形成されてしまうのです。



 1-3、男らしさへの戸惑い


 勃起力やペニスの大きさは、本当に“男らしさ”のあらわれでしょうか。私はこれも、性商材による「刷り込み」であり、男の勝手な思い込みであることを伝えたいと思います。



 男が描く“男らしさ”には、強烈な「勃起幻想」があります。「勃起幻想」とは、勃起、挿入、射精をすること。その一連の行為こそがセックスであり、“男らしさ”の表現方法であるというのは男の勝手な解釈です。これは先にお話しした通り、徹頭徹尾、挿入と射精に固執したAVでセックスを学んできた男たちがつくり上げてしまったものであり、「幻想」なのです。



 こうした、男自身がつくり出し、刷り込んできた“男らしさ”に捉われ、男たちは人知れず悩んでいる。何だかバカバカしいと思いませんか。性とセックスに対する知識も想像力もなさすぎる。その幻想に捉われている限り、男が本当に得たいと思っている喜びや幸せを味わうことはできないでしょう。



 AVは男の「妄想ファンタジー」ですが、男の願望がすべてあらわれているかというと違います。男の性欲は、願望とイコールではありません。男性諸君、本当の男の望みって、勃起、挿入、射精だけではないですよね? もっと深いところに、満たしたい望みがあるはずです。その願望に素直に耳を傾け、相手に伝えることが「最高のセックス」を叶えるために必要な要素になります。



 形ばかりの“男らしさ”に捉われ、本当の望みから目を逸らし続けている限り、「最高のセックス」を体感することはできないでしょう。加えて、真に女を悦ばすこともできません。一方的な加虐行為を続けて、ひどい男だと嫌われて、孤独を感じ、孤立してしまうのがオチでしょう。


 そうならないために、“男らしさ”の再考をしてほしいと思います。


 男が男自身の性に無知なこと、無理解であることはパートナーとの関係性を損なう大きな原因の一つです。男が性を知り、歩みよることの必要性にきちんと気付き、性をとりまく「生」の環境づくりをいかに考えていけるか。男が性を学び直せば、パートナーとのセックスも生活も、大きく変わる気がしています。そうすることが、男自身に新しい魅力を備えることでもあると思います。



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