『日本が好きでなぜ悪い! − 拝啓、『日之丸街宣女子』から思いを込めて −』
[著]富田安紀子
[発行]ワニブックス
こうして『日之丸街宣女子』を発表するに至った現在、私は「差別主義者」「ジェノサイド扇動者」「在特会のコアな活動家」「ヘイト漫画家」などと呼ばれ、作品自体も「差別扇動コミック」だの「愛国ポルノ」「オルグ漫画」だのと、とんでもないレッテルを貼られているわけである。
ここであらためて主張するが、『日之丸街宣女子』は差別の扇動など一切していないし、ヘイトスピーチ推奨などもしていない。
そもそも。「ヘイトスピーチ」とはなんであろうか?
■ヘイトスピーチ:《ヘイトは憎悪の意》憎悪をむき出しにした発言。特に、公の場で、特定の人種・民族・宗教・性別・職業・身分に属する個人や集団に対してする、極端な悪口や中傷のこと。
──デジタル大辞泉
■ヘイトスピーチ:特定の人種や民族、宗教などの少数者に対して、暴力や差別をあおったり、おとしめたりする侮蔑的な表現のことを言う。差別的憎悪表現とも呼ぶ。国内では、東京・新大久保などで在日韓国・朝鮮人に向けて「出て行け」「殺せ」などと連呼する街頭活動が繰り返され問題となっている。
──朝日新聞掲載「キーワード」の解説2015.07.21
■ヘイトスピーチ:人種、宗教、性的指向、性別、思想、職業、障害などの要素に起因する憎悪(ヘイト)を表す表現行為とされる。日本語では「憎悪表現」「憎悪宣伝」「差別的表現」「差別表現」「差別言論」「差別煽動」「差別煽動表現」などと訳される。
──Wikipedia(ウィキペディア)
この言葉が日本で頻繁に聞かれるようになったのは、この数年のことである。
新保守系団体および新保守系小メディア、および新保守系のすべての「P」、デモ、街宣に対し、この言葉が使われるようになったのは、前章「勧進橋児童公園」の一件以降のことである。それまでは純粋に「差別」と使われていたものが、「ヘイトスピーチ」になり替わった。
私の手持ちの辞書2冊には、いずれも載っていなかった。ネットで引けば上記である。Wikipediaの内容は現在絶賛書き換え中であり、先日まであった「日本には規定がない」の文言が丸ごと消えている。
「在特会」「しばき隊」「有田芳生」などなど、本書でも挙げられた名詞が並んでいるのが「面白い」。朝日キーワードではあからさまに「在日韓国・朝鮮人に対し」と出てくるが、書き換え中のWikipediaとまったく同じ論調であるのが興味深い。
なぜそうなるか。日本での使用例がそれだけだからだ。
「ヘイトスピーチ」と使われる時、日本では必ず「在日韓国・朝鮮人に」であり、それ以外の使用例はない。ネットでひとこと「ヘイトスピーチ」と入れて検索してみるといい。在特会、京都、在日コリアン、新大久保、韓国人は出ていけ、などなど……一種類の事柄がごっそりと出てくる。それだけだ。
何しろ日本人にはなじみのない言葉である。普通はわざわざ使わない。意図があって使う人間以外は、使わない。そして喜んで使う人々は、「日本人に対して」使うことを「有り得ない」と全面否定する。使われるのは必ず「マイノリティでなければダメだ」とルールを作っている勢力があるのだ。
言わずもがな、アンチとメディアと左翼と、在日韓国朝鮮人とその仲間の面々である。
[作者注:民団新聞では幾度か、しばき隊などアンチを激励、賞賛する記事を載せており、志をひとつにすることはたしかであろう。特に2015年8月15日などは手放しで絶賛である。
また、Wikipediaには「アイヌも載ってるぞ!」と言う方は「アイヌ」でも調べることをお勧めする。北海道アイヌ協会から同じ源流に辿り着くことだろう]
日本人には耳馴染みがないのをいいことに、アンチとメディアと左翼と在日韓国朝鮮人とその仲間の面々(以降、アンチ仲間)はこの言葉に都合の良い解釈をつけて流布している最中である。
初めはTwitterなどを用いて極々せまい仲間内で肯定し合い、共通認識としていた。その後に、メディアやWikipediaなどを使って、現在絶賛拡散中である。
彼らが今構築している「ヘイトスピーチ」の元の図を、私が描きなおした物が上の〈図0〉になる。
元の絵を載せても構わないのだが、個人名および写真が使用されていて、あまり綺麗ではないので、こちらをご覧いただきたい。
これが「ヘイトスピーチ」を喧伝するアンチ仲間の面々が、好んで流布した考えである。この図の胡散臭さが分かるだろうか。