『ニュース、みてますか? − プロの「知的視点」が2時間で身につく −』
[著]杉江義浩
[発行]ワニブックス
─それは自分の身近な生活に関係ないから?─
ストレートニュースとは、解説のない純粋なニュースのこと、またそうした番組の形態をさします。
世の中の出来事を視聴者に対してできるだけ早く、一次情報として正確に伝えることが使命ですから「面白くする」という要素は入り込む余地はありません。面白く作られていないのですから、つまらなくて当たり前です。
前提となる知識を持つ人向けですから解説はありません。いつ誰がどこで何をどのようにしたか、いわゆる5W1Hが伝われば、それで必要にして十分なのです。
一方では「警察ではこの男性を任意同行して詳しく事情を聞き、容疑が固まった時点で逮捕して取り調べる方針です」といった、何度も聞いて聞き飽きたような味気ないコメントが繰り返されます。
これは容疑者と思われる人物が見つかったけれども、まだ十分な証拠も自白もないので、とりあえず事情を聞いている段階であるという警察発表を、そのままコメントにしているからです。聞いている方からすれば「犯人らしき男が捕まった」でもよさそうなものですが、それでは正確さに欠けるというわけです。
もう一つニュースをつまらなくしている原因の一つに、「自分の身近な生活に関係ない」と思いこんでしまう点があります。
先述しましたが「すべてのニュースは私たちの日常生活に関係がある」と断言できます。
そもそも「日常生活に関係のないことがらはニュースにならない」のです。
消費税の増税といえば、毎日の買い物に財布を痛める関係上、生活に密着していると誰でもわかります。
しかしある程度の知識と「ニュースを楽しむコツ」を身につければ「中東のシリアという国に空爆が行われた」というニュースが、なぜ日本で暮らす私たちの日常生活に関係があるのかもわかるようになります。
ニュースによっては国際情勢や現代史に、ある程度の知識を持って見なければ、理解できなくて、面白くないのが当たり前なのです。