『幸せな人は「お金」と「働く」を知っている』
[著]新井和宏
[発行]イースト・プレス
これまでの章で何度も「幸せ」という言葉が出てきています。しかし、そもそもあなたにとって幸せってなんでしょうか?
ほとんどの人は幸せになりたいと思っているはずです。世界中を旅行すること、美味しい料理を食べること、好きなマンガを読むこと、なんでもよいので自分にとっての幸せを書き出してみてください。そして自分以外の人の幸せを聞いてみてください。きっと、同じ人もいれば違う人もいるはずです。
また、「幸せな人」と聞いてあなたはどんな人をイメージするでしょうか。
「成功している人」「華やかなことをしている人」「有名な人」「スポーツ選手」
「テレビに出ている人」「影響力のある人」「地位や名誉のある人」「一流会社に勤めている人」。そんなイメージを持つかもしれません。
一方「不幸な人」はどんなイメージでしょうか。「失敗をしている人」「無名な人」「お金のない人」「影響力を持っていない人」「地味な仕事をしている人」「地位も名誉もない人」「小さな会社に勤めている人」。こんなイメージを持っているかもしれません。
私もかつて「一流の大学に入り、一流の会社に入る」、こんな目標を持っていました。そうすれば幸せになれるのではないかと思っていたのです。しかし、それが意味のないことだと知った今は、そのころの自分を恥ずかしいと感じています。そもそも「一流」とか「二流」ってなんでしょうか。各分野で「一流」と「二流」の区分や差はあるかもしれません。確かに、「一流」と呼ばれるような大学に行けば、選択できる幅は実質的に増えるし、いまだに出身大学によって、就職できる会社とできない会社があるのも事実です。でも「一流と呼ばれている会社」に入ったからといって、「幸せになれる」わけではありません。それどころか「一流と呼ばれる会社」に入って過労死してしまうようなことも起こっています。その意味では、根拠のないものに「流されてきた」と、いまさらながらに感じています。
人が目指すべき幸せは他者との比較による相対的な目標ではなく、自分の中にだけある絶対的なものなのだとようやく気づいたのです。私は今の仕事を始めてから、様々な分野で、幸せを感じながら仕事をしている人たちと一緒に活動することができるようになりました。