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(2021/11/26 追記)

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終の二択 − 定年からの取捨選択術 −
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生き方・教養
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持ち家の場合、「リフォーム」または「建て替え」?

『終の二択 − 定年からの取捨選択術 −』
[著]紀平正幸 [発行]ワニブックス


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子育て時代とは住まいの用途が変わってくる



 三〇年ほど前のバブル期によく使われていた言葉に「住宅(すご)(ろく)」というものがある。


 それは──結婚したらアパートに住み、子どもができたら賃貸マンションに住む。やがて分譲マンションを購入し、六〇歳になったらそのマンションを売却する。最期は一戸建て住宅に住み“アガリ”──と、サイコロを振ってアガリを競う「双六」のように、少しずつ住宅のレベルをステップアップさせる様子を表現した言葉である。


 当時は経済が右肩上がりだったため、買ったマンションが何倍もの値段で売却でき、このようなステップアップも可能であった。そのため、バブル時代は「住み替え式購入」が日本の住宅取得の一つの流れだったのである。


 ところが、現在は一度住宅を購入すれば、二度は買えるような状況にない。バブル経済が崩壊してから地価や物価が下がったことでマンションの売却益が見込めず、「住宅双六」通りの住み替えは夢のまた夢となっている。


 これから老後を迎えるに当たり、子育て時代にローンを組んで購入した住宅に老夫婦二人で暮らしていくという人がほとんどだろう。この場合、建物は築年数がかなり経過して相当ボロが出てきている可能性がある。しかも、子どもはみんな独立し、一軒家に老夫婦二人きりでは広すぎるケースも多いだろう。



 では、持ち家は「リフォーム」するのか、あるいは「建て替える」ほうが良いのだろうか?


 これは、「経済的な面」と、「住まいとしてあるべき姿」の二つの面から考える必要がある。そのうえで、もし経済的に無理がないのであれば、私は基本的に「建て替え」をお勧めする。その理由は、子育て時代と老後の生活では、そもそも住まいの「用途」が変わってくるからだ。


 子育て時代というのは、やはり広さや部屋の数、家事のしやすさだとか、通学、通勤に便利といった機能が優先されてしかるべきだ。しかし、それらの多くは老後には不要な機能であるし、逆に欲しい機能、例えば「バリアフリー機能」などは設置されてはいないだろう。


 本来、住まいに人間の生活を合わせるのではなく、人間の生活に住まいを合わせるべきなのである。あるいは、生活に合う住まいを選ぶということが住まいのあり方なのだ。


思い切ったリフォームは意外に難しい



 従来、木造住宅の耐用年数は「三五年」程度だと言われている。この年数は決して長いとは言い切れない数字だろう。だが、そこには日本人の住宅に対する考え方により深い理由がある。


 戦後の日本では、生活様式の急激な変化や核家族化によって、古くなった家を大切に使い続けるより、壊して新築していく流れがあった。また、家を作っては壊し、壊しては作るというサイクルを確立させて常に住宅需要を生み出すことは、日本という国を成長させる大きな経済波及効果もあったのだ。そのため、住宅には長い耐用年数は求められていなかったのである。


 そうした時代背景の中、子育てに重点を置いて作られた家に、「一〇〇歳になるまで住もう」というのは基本的に無理があるのだ。やはり、六〇歳以降は「どの場所に誰と住むのか」、そして「どのような暮らし方をするのか」、あらかじめプランニングしておく必要があるだろう。



 部屋数や広さはもちろん、バリアフリー化や耐震性、防犯性をしっかり考慮し、老後二人きりでも安心して暮らすことのできるスペースに改良する──この理念を実現させるためには、やはりリフォームでは限度や制約があり、補修の域を出ないことが多いのである。


 もちろん「引っ越し」という手もあるが、知らない土地で生活を始めるよりは、長く住み慣れた思い出の多い場所で老後生活をのんびり過ごしたいものだ。



 実際に「建て直しだと経済的に厳しいためリフォームにした」という例をいくつか見てきたが、正直、うらやましく思えるような例にあまり出会ったことがない。


 例えば、子ども部屋にあった子どもの荷物を全部処分し、その部屋を茶室にしたり、ビデオ観賞用のシアタールームにしようとするケースがあった。


 だが、いざリフォームしてみると、子どもとの思い出まで消し去られるような気がして、寂しくなり、後悔の念に襲われてしまったのだ。


 結局、リフォームといっても、「段差をなくす」、「手すりを付ける」など、最低限必要な改修にとどまり、「子ども部屋に子どもの昔の衣服や荷物がそのまま残っている」という例が多いのではないだろうか。


 思い切ったリフォームを断行することは想像より難しいものなのだ。


そもそも耐震性は十分にある家なのか?



 ここまで簡単に「建て替え」だ「リフォーム」だと言ってきたが、当然費用がかかるため、気軽に実行できるものではないだろう。


 だが、長い老後を暮らしていく場所を快適にすることが目的なので、ある程度費用がかかることは仕方がないと割り切るべきだ。


 金銭的な目安を一つ挙げよう。もしリフォームにかかる費用が、全面的な建て替え費用の七割以上かかるのであれば、建て替えたほうがお得である。


 おすすめしたい工法が、最近ハウスメーカーが非常に力を入れている「減築リフォーム」である。


 高齢になり「子ども部屋が要らなくなり、広い家だと維持も大変」という場合などに、「三〇坪の戸建てを二〇坪に小さくする」というようなリフォームである。実際「リフォーム」の名が付いているが、「建て替え」の一種だと思って良い。


 また、地震大国の日本では、耐震性の面からリフォームか建て替えを検討しなくてはならないケースも多い。この場合、昭和五六年(一九八一年)六月から耐震基準が変わったため、それ以降に建てられた家であれば地震に強いと見なして良いだろう。


 問題は、それ以前の旧耐震基準で作られた家である。東京都の平成二三年の調べによると、都内の分譲・賃貸マンションのうち、二割弱(約二万四四〇〇棟)が旧耐震基準の建物だという。その場合は、安心・安全のためにも、きちんと耐震性が発揮できるよう、リフォームや建て替えを実行するべきである。


 しかし、たとえ使い勝手が悪く耐震性に不安があったとしても、昔から住み慣れ、思い出が詰まった家であれば、「建て直しになかなか踏み切れない」という気持ちも理解できる。


 だが、建て替えが決断できずにずるずると生活を続け、事故や災害が起きてしまっては手遅れになる。そのため、できる限り早くの決断をしていただきたい。

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